さて、世間の裏の世界では、相も変わらずオカルトな方々が何やらと蠢いているようで、コロナ禍によって公開での開催が一時中断されていたと噂されていた、真実を報道する世界で唯一の月刊メディア 『 月刊ムー 』 を中心とした闇のイベントも、ようよう再開され始めた様であります。

 そんな秋の日のある日、10月8日のことになるのですが、私はふと思い立って自宅近くにある比較的大きめな書店へと出向き、 『 月刊ムー 』 が置かれていそうな棚へと足を向けました。すると、そこには二十冊近くの 『 月刊ムー 』 が平積みされているではありませんか。

 さすが、真実を報道する世界で唯一の月刊メディア、 『 月刊ムー 』 。

 最近では、こんな表の一般書店でさえも、あの 『 月刊ムー 』 をこんなに仕入れているのか・・・、と思いつつ、その中の一冊を手にとってレジへと向かう道すがら、私はふと、デジャヴのような感覚に襲われたのでありました。

 嫌な予感に従って立ち止まり、手にした 『 月刊ムー 』 を開いて一番最初に目を通すべき最終頁の次号予告を確認すると、次号はなんとその日の翌日の発売との事。

 つまり私は、幻魔の暗黒波動に誘導されて、一日早く書店へと足を運んでしまっていたのでした。

 いくら世界で唯一の真実が報道されているとは言え、同じ号を二冊も購入する余裕は、アベノミクスという不況促進政策によって青息吐息なところへ襲い掛かってきたコロナミクスによって超緊縮財政下にある私の財布には大きすぎる負担というべきものになります。そんな危機を、間一髪のところで回避した私は、三宝の加護に深く感謝しつつも、ふと、ある疑問で頭の中が?マークで一杯になっていくのでありました。

 「 明日が来月号の発売日だというのに、今月号はこんなに売れ残ってしまっているんだ・・・ 」 、と。

 そう、発売日を過ぎてまる一ヶ月も経過しているというにもかかわらず、真実を報道する世界で唯一の月刊メディア 『 月刊ムー 』 は、二十冊近くも売れ残って書店店頭の棚の上に平積みされていたのであります。

 You Tube で MuTube や様々なM源樹イベントの動画などを視聴していた私は、世間では 『 月刊ムー 』 を中心としたオカルトなムーヴメントが盛り上がっているものとばかり思いこんでいたのですが、どうも真実はそうでもなかったようであります。

 MuTube を筆頭としたさまざまなM源樹イベントと呼ばれるものは、傍から見る限りは盛況なようにうかがえるのですが、その実、そのようなイベントに参加したりするようなある意味で特殊な階層に所属する人の絶対数は、もしかしたらかなり限られているのかもしれません。

 そして、傍から眺めている限りは大いに盛り上がっているかに見えなくもない様々なM源樹イベントに、実際に参加している方の数などは、せいぜいが数十名の規模なのでありましょう。

 もちろん、小規模イベントを開催運営する興行主的な立場からすれば、それはそれで十分な数なのかもしれませんが、雑誌の購読者の母集団としては心もとない限りではあります。

 そんな方々の、ある種、異様なまでの盛り上がりを目にして、もしかしたら一般のオカルト趣味な方々は、逆に 『 月刊ムー 』 から離れて行ってしまっているのかもしれません。

 それが、発売後一ヶ月も経過しているにも関わらずに、売れ残ってしまった二十冊近い平積みの山に表れていた、という事なのでもあります。

 これは、ある意味で 『 月刊ムー 』 がガラパゴス化してしまっている、という事なのかもしれません。

 『 月刊ムー 』 ありきの様々なイベントで盛況を手にしているM源樹の隆盛と、その拠り所でもある 『 月刊ムー 』 のガラパゴス化という現状に鑑みてみると、私たちがリアル世界において紙媒体としての 『 月刊ムー 』 を手に取って楽しむ事ができる時間も、もしかしたらあと僅かなのかもしれません。

 その布石の一つが、今年の夏にあった発行会社の移行であったのだ、という事もできます。

 そして、やがては、真実を報道する世界で唯一の月刊メディアとも言われた 『 月刊ムー 』 は、ネットという仮想空間の中における電子媒体としてのみ、その存在がかろうじて許されるようなものになってしまう可能性もあるようです。

 あるいは、M源樹の広告媒体として縮小しつつの存続を模索するのか・・・。

 いずれにしても、もしかしたら、いつ無くなってもおかしくはないかもしれない真実を報道する世界で唯一の月刊メディア 『 月刊ムー 』 の最新号となる 2020年11月号が発売中でありますので、我と思わんオカルトな方々は、ぜひ書店へと走ってください。

 終わりの始まりは、もう、始まっているのかもしれないのですから。