さて、酷暑も顧みずに先日、東京は両国にある江戸東京博物館(1F特別展示室)で現在開催されている《大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで》へと出かけてきました。


大妖怪展-2
大妖怪展チラシ

 江戸東京博物館へは、以前にも《特別展 五百羅漢》を観に行った事があり(その際の記事はこここちら から)、その際には地下鉄大江戸線を使ったのですが、今回はJRを使ったためか、前回とはちょっと異なった印象を受け、やはり江戸東京博物館へはJRを使った方が便利なような印象も受けました(以前の記事では大江戸線の方 が近い、ような書き方をしてしまいましたが、必ずしもそんな事はありませんでしたし…)。

 妖怪とは何かという議論はさておいて、会場では縄文期の土偶から天狗図をはじめとして、百鬼夜行図に六道絵、あるいは幽霊画に、果ては現代に転生した新たな妖怪としてジバニャンなどという妖怪ウォッチのキャラまでが展示されています。


大妖怪展-1

 展示されている作品の中には、なんらかの機会を通じて私たちの目に触れ、あるいは耳にしたりした事のあるものも多く見受けられて(妖怪ウォッチのキャラは言うまでもありませんが……)、そんな作品の一つとして、『稲生 [いのう]物怪録[もののけろく]絵巻』という作品が展示されているのが、とくに私の目を引きました。

 な~んかどっかで見た事があるよう気がして、自坊の庫裡をガサガサとガサ入れしてみたところ、……、やはり、ありました。


大妖怪展-3
『月刊ムー』1996 年 12 月号付録

 上の写真は、《 真実を報道する世界で唯一のメディア 》 として知られる伝説のオカルト雑誌 『 月刊ムー 』 の 1996  年 12 月号に、当時のムー編集部が総力を挙げて入手した極秘の資料を、雑誌の付録という世を忍ぶ仮の姿で付ける事によって表の世界にリーク した、裏の闇世界に相承されし幻の秘密図録 『 稲生[いのう]物怪録[もののけろく]絵巻 』 の完全複写図であります。


 この絵巻は、日本オカルトの真髄を絵巻という形を借りてリークしたものとも言われていて、その意味を深く読み解く事ができれば、日本オカルトにおける闇世界に潜む異形のものたちの力を自在に駆使する事さえも可能になる、と一部では伝えられている 、という噂もある、とされているものであります。


 今回の展覧会においてはその原本が、裏東京都の秘密職員諸氏の尽力によって、闇の組織から極秘裏に回収されて、表向きは 《 個人所蔵 》 という建前を掲げつつ一般大衆に向けて堂々と展示されているわけであります。この伝説の絵巻の原本すなわち原典を 観覧もしくは閲覧する事によって得た波動を使えば、かつてこの裏世界の情報を表にリークするために、雑誌の付録という世を忍ぶ仮の姿をとった事によってコーティングされてしまった原典の波動が持つ情報をデ・コードする事も可能となるのであって、その事 によってあなたも私も、この裏の闇世界に蠢く魔の力を自在に駆使する事ができるようになるわけでもあります。

 この 『 稲生物怪録絵巻 』 の表向きの内容は、寛延年間 (1748-1751) の備後 (現在の広島県) は三次[みよし]というところに住んでいた稲生平太郎という 16 才の少年の家に、都合 30 日間にもわたって たて続けに顕れた怪異現象を絵巻物として記録したもの、という事になっています ( 現代の感覚でいえば、ちょっとしたライト・ノベル、とでもいったようなものでありましょうか ) 。


 『 絵巻 』 は、平太郎を次々と襲う怪異を正確に記録しつつ、やがて、この稲生平太郎という若者を都合 30 日間にもわたって襲い続けたという怪異な現象は、すべて 《 山本五郎左衛門 》 と言う魔物が企てたものであり、実はインドや中華帝国に本邦を加えた 三国の闇世界において当時、この三国の人々を百人たて続けにたぶらかせば魔物国すなわち魔界の頭領になる事ができるという協定が結ばれていたという事で、山本はその協定にしたがって魔物国すなち魔界の頭領の座をかけて 85 人までをたぶらかし、86 人 目として稲生平太郎をたぶらかさんと画策したが故のものであった、という真相が、ついには山本自身の口から語られる事となります。


 山本五郎左衛門は、 86 人目の平太郎で 《 百人連続誑かし 》 に失敗してしまい、その結果として魔界の頭領レースから脱落してしまう事となったのですが、そこで山本は、この 《 百人連続誑かし 》 という魔界の頭領レースにおける山本のライバルとも言える  《 真野[しんの]悪五郎 》 なる魔の存在を平太郎に明かし、やがて平太郎に敗れた山本に替わって平太郎を悪五郎が襲うことになるだろう未来を予言した上で、さらに平太郎に対して 《 槌 》 を授けるとともに、 もし悪五郎をはじめとした様々な魔に襲われた際には、その槌で北の柱を打てば山本が顕れ、平太郎と力を併せて悪五郎をはじめとした様々な魔を砕波せん事を誓った、という事であります。


 これは、単なるお伽噺ではなく(ほんとのところは、ラノベっすけど)、実際に日本オカルトにおける闇に伏在している様々な魔を調伏する力を秘めた絵巻物である、と都市伝説研究者の間ではひそかに語り伝えられているものなのでありますが、そんな貴重な作品の原典という超ドレッドノート級な展示作品もちらほらと見られる 《 大妖怪展 》 なわけでもあり、暑い夏を元気に乗り切った上で、舟をたたんで秋の風を感じるためにも、ぜひ一度は江戸東京博物館へ足をお運び下さい、とお奨めしたいと思います。


 が、展示されているものがモノだけに、今回ばかりは、万人の誰でもが気軽に足を運んで楽しむ事ができる、というものではないとも言え、もしお出かけになる際には、それなりの覚悟と準備、対策を怠りなく整えておく事を推奨いたします。


 とくに、今回の様々な展示作品の中には、いわゆる幽霊画と言われる作品もあり、それらを集めた上でまとめて展示した一画もあったりしたのですが、そのコーナーについては、さすがの私も足早に通り過ぎて、展示作品の前に足を止める事はありませんで した。


 そして、もちろん、《 大妖怪展 》 からの万が一のお土産対策に念を入れる為にも、帰宅してからは金剛サッタを本尊として百文字パイツーミンを念入りに念誦して、様々な妖しのモノたちのネカティヴな波動による影響力の浄化にぬかりのないように万端怠りなく勤めた事は言うまでもありません。


 私のあるツレなどは、私が 《 大妖怪展 》 へ行ってきたという話をすると、たちまちにその顔を青ざめさせていまだ見ぬ恐怖にその身を震え上がらせていたほどであります。


 しかし、それでも、やはり夏の風物詩、という感じででも楽しんでみようかな、という勇気ある猛者の方がいらっしゃいましたらぜひ一度その足を東京両国は江戸東京博物館までお運びくださいませ。


 ちなみに、会期は 8 月 26 日までだそうであります。

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