さて、いよいよ一年の終わりも近くなってきた今日この頃ではありますが、一年が終わる前にはまだまだ行事がいくつかありまして、そんな中でも大切な行事の一つとして 《 冬至 》 の日というものがあります。


 現代における冬至の日というものは、太陽がいわゆる太陽黄径の 270°に位置する日の事をいっていて、これはおおむね 12 月 22 日の前後に相当しています ( 正確にはその年によって若干の前後があります ) 。


 冬至の日というものは基本的に一年の内でも昼間の時間が最も短い日と言われていて、逆に言うと、この日を堺にして徐々に昼間の時間が長くなっていくと言う事もできるわけで、そこから、夏至以降の陽の気の衰退が底を打って反転し、徐々に陽気を増していくと解釈してこの日を一年の始まりの日とする考え方などもあったりします。


 魔女の世界でもこの日は 《 ユール 》 という祝祭の日とされていて、熱心な信者さんたちの中にはなんか怪しげな儀式をやったりする方々もいたりするという話を耳にする事もあったりしますね。


 一般的には、この日にはカボチャを食して柚子湯に入るなどという習慣があったりもするわけでありますが、最近になって提唱されている新しい習慣として 《 冬至の日には星を観よう 》 などというものもあるようであります。


 2009 年に世界的天文愛好家の団体であるという 《 Astronomers Without Borders 》 という団体の中でも特にブラジル、インド、イ ラクの会員さんたちを中心として、何やら世界中でそれぞれの季節を祝って空や星を眺めようぜ・・・、みたいな感じで呼びかけがあったという事のようで、これが現在では 《 Seasons without Borders 》 という国際的なムーヴメントとして提唱されているらしく、具体的にはいわゆるニ至ニ分の日が世界中のみんなで季節を祝うというその趣旨にふさわしい日とされて、さらにその中でも ( 年四回では多すぎる・・・とでも考えられたらしく ) 夏至と冬至の日を特に選んで 2009 年から開催し始めて、今年 ( 2010 年 ) の冬至で四回目の開催になる、という事らしいです ( 詳細は→ こちら ) 。


 今年 2010 年の冬至の瞬間 ( 太陽黄径が270°となる瞬間 ) は日本の標準時では 12 月 22 日 08:38 という事で、そのため日本では 12 月 22 日 ( 水 ) にこのイベントを実施するという事のようであります ( 南北アメリカにヨーロッパ諸国、及びアフリカなどでは 12 月 21 日の実施とのことですが ) 。


 ところが、今年の冬至のイベントは一筋縄ではいかないようで、冬至の直前の 12 月 21 日には皆既月食というイレギュラーなビッグ・イベントが日本国内では観測される事になっているのですね。


 こちらのイベントに関しても国立天文台などにおいて 『 2010 年 12 月 21 日皆既月食を観察しようキャンペーン 』 などというものが展開されていて、なかなかに風情をそそる師走の日々が続きそうなのであります。

月の出の時刻は各地で異なりますが、月食の各現象は全国同じ時刻に起こります。皆既月食は16時40分に始まり、17時54分 に終わります。また月食(部分月食)が終わるのは、19時2分です。 」 ( 「皆既月食を観察しよう」

 寒さ厳しき折りも折り、二日続けての天体観測イベントとは気合の入る年の瀬ではあるようであります。


 ・・・。


 が、さらにそれのみならず、月食の日に行なった善事はその功徳が万倍にもなる・・・、などという事が仏教における母タントラのどこぞだかのテキストには述べられているらしく ( 私自身は未確認ですが ) 、この日にお経を読んだり唱えたり、あるいは写経をしたり、もしくは礼拝や懺悔滅罪の行などを実践するとその効能はふだんの比ではない・・・、などと世上喧伝されたりもしているようであったりもしたりしなかったりするようであります。


 篤心の方にとっては、ここで一発おおきく功徳を積むチャンス・・・、というわけですね。


 夕方から皆既月食の天文観測に現を抜かし、月食が終わるや自室に籠もって何やら怪しげな事どもをモゾモゾと始めるというのも、まぁ、乙なものではあります。


 ちなみにこの日は、もしも機会があったらバスや電車を利用する際に可能な限り席を譲ってみる ( 床座施という善事になります ) というのも良いかも知れません ( この際、相手が年寄りだろうが、若造だろうが自分以外の者なら誰でも構いません ) 。


 その功徳が何万倍にもなってアーカシックレコードに記録されるサービスデー・・・、という事らしいです。


☆★☆ 《 2010 年 12 月 24 日 追記 》 ☆★☆

 皆既月食は一部の地域を除いて悪天候のために観察はできなかったのが残念ではありましたが、今回の皆既月食に関して後日、次のような報道がされていたらしいのに気がつきました。



 報道の趣旨は “ 今回の皆既月食は冬至の日に起こるものであり、冬至の日の皆既月食というのは 1638 年以来 372 年ぶりの事である ” ということのようなのですが、今年 2010 年の冬至の瞬間 ( 太陽黄径が270°となる瞬間 ) というのは本エントリー本文にも記したように日本の標準時では 12 月 22 日 08:38 という事で、報道にある “ 冬至の日の皆既月食 ” というのは日本在住の私たちにとっては若干関係の薄いお話ではあるようであります ( 一日違い、です、death、Death . ) 。


 世界を支配する西洋人たちが西洋中心にしか世界を見ていないのと同様に、世界の中心である日本に在住する日本人である私も日本中心にしか世界を見ていない為、西洋人たちの “ 1638 年以来 372 年ぶりの冬至の日に起こる皆既月食 ” というイベント騒ぎにはまったく気がつきませんでした。


 混乱するといけないと思いましたので、補足として追記しておきます。