成田~クアラ間よりも、明らかに、明確に、確実に、周りの人達が「黒い」。

帰路にも感じることになるが、
「こいつ、絶対爆弾持ち込んでる」ってスムースに思える御人相の方々ばっかり乗っている。
偏見ですよ、勿論。解っちゃいるけど、ロンドンで逮捕された犯人と見分けがつかない…

ほの暗く照明を落とされた機内では、座席を見渡しても黒々としていて、起きているヒトは、目だけが白くクッキリと浮かび上がっている。

やっばいなぁ…と思っていると、ゴニャゴニャしたアナウンスの後、飛行機はどんどん高度を落としていく。
窓から見下ろすと…
「?空港って、どこにあるの???」

何度か旋回を繰り返すと、ダッカの街並みが見えてきた。

バングラの方には大変失礼ながら、
「お。電気、沢山点いてるじゃんか」
って思った。正直。

でもね、「電灯」は首都の中心街だけ。
白く見えていたのが「電灯」。
オレンジ色にキラキラしてたのは、開け放たれた家の窓から見えていた「オイルランプ」だったんだ。(後でわかった)

マレーシアエアのパイロットは操縦が巧い。
あっけないほどスルリと着陸。
たいした距離をタクシーイングすることも無く、ゲートに着く。
看板に従って入国審査コーナーに行ってビックリ!
30はあろうかというほどのゲート数。
(成田!見習え!!)

そこに3人くらい、(10分の1ってところがバングラか…)入国審査官が座っていて、ギョロリと人の顔とパスポートの写真を見比べる。
「ジャパニーズ?」
「イ…イエス」(日本のパスポートだろがい!!)
「…ビジネス?」
「イエス」
「…ファーストタイム?」
「イエス」
「フン…」
どこの国でも、ここでポンポンと判子付いてくれるんだけど、他のページをゆっくりペラペラ。

最後に一つため息をついてようやく開放してくれる。
(パスポートにドルでも挟んでおけって、言いたいのか?)

やはり看板に従って出口に向かうんだけれども、ゲートもバゲッジクレームも、全部ガラス張りで外まで見渡せるつくりになってる。

一番外の窓に、すずなりになった顔顔顔…
待ってるんだ。到着する人を。
夜だし、あまり明るくないから、気が付かなかったけど、よく見ると立錐の余地が無いほど顔が並んでいる。

アテンドしてくれたバングラ人の社長さん(アラムさん)が迎えに来てくれてるはずだったから、そのすずなりの顔を1つ1つ、確認していくんだけれど、全部「アラムさんみたい」に見えちゃって、マジ困りました。

出口に立っている兵隊さんのライフルを蹴飛ばさないように避けながら、外に出る。

…居ないよ。アラムさん。
探しながらタバコに火をつけて、ゆっくり歩いていると、向うから親しげな笑顔で近づいてくるバングラ人。目と歯だけ白い。

「$P+@бФ★○=~*>_‘+??」

…恐らく、「タクシー、安い。乗っていけ」って言ってるに違いない。
こちとら、バングラ語もヒンドゥー語も喋れないから、相手を怒らせない程度にキッパリ「違うよ」って顔をする。
そんなのが3人くらい入れ替わり立ち代り。

ハッと気が付くと、ベレー帽を斜めに被った鋭い目つきの兵隊さんがライフルに手をかけて、24時をジッと睨んでいる。

「…なんも悪いことしてないぞ??」
と思っていたら、
あまりにでかくて気が付かなかった、
「NO SMOKING」
の看板。

その真下で喫煙してた(^^;)
あわてて「携帯灰皿」でもみ消して…
どうりで灰皿無いわけだ。

気が進まなかったバングラの到着早々、心細くなってきた。

「ヒョットシテ、中に居るのかな?」
と思って再度入ろうとしたら、ひとまわりデカイ兵隊が
「貴様はもう、入れない。」と入り口に立ちはだかる。
ったくもう。
「ダチが中に居ると思うんだが、入って確認させてくれよ!」と早口英語でまくし立てたら、
「パスポート!」
「ほい」
…ペラ…ペラペラ…ペラ…パラ、パラ。
(こいつもページの間に紙幣を探してやがるのか?)
「フン。オーケー。但し早く出てこい」
「サンキュ」

…まいった。居ないよ。

さっきのデカイヤツに目配せして再度外へ。
ま、しょうがねぇ。来なかったら、タクシーでホテルまで行こうと思って諦めかけた時、ようやくアラムさん登場。

「ゴーメンナサイ! ワタシ、オクレマスタ。ヘヴィヘヴィトラフィックジャムですねぇ~」
とチャンポンで迎えてくれた。

あんまり露骨にほっとした顔をしないように、彼の車でホテルへ。

12時もまわろうという時間なのに、空港の周りに人・人・人・人…黒山の人。
「みんな、こんな時間にナニやってるの?」
「ダッカはリビングコスト高いから…」
(答えになってねぇよ)
「客待ちのリキシャ?タクシー?ポーター?」
「う~ん。何もして無い人たち。あれは、いらない人たち。」
(おいおい、同胞だろ?!)

暗くて街灯も少なく、舗装状態も良くない道を、バス、トラック、タクシー、リキシャ、オートリキシャ、自転車がかっ飛ぶかっ跳ぶ!
翌日、「バングラドライブ」の洗礼を受ける事になるんだが、信号も無く、交差点はロータリー形式のランナバウト。
右ハンドルで車は(一応)左側通行であるところに、イギリス文化の名残を感じる。


疲れていたので、投げやりな気持ちになりかけた頃、ホテルに到着。
キチンと制服を着たベルボーイ数人に囲まれ、チェックイン。


翌朝、6時半に出発だったので、フロントで
「6時に起こして」と頼むと、
「朝食は7時からですが、6時10分にルームサービスで朝食を運びます」と。
通常、ルームサービスなんか使うと高いんだが、
「いえ、日本のお客様はよくお泊りになっていますので、サービスさせて頂きます。」
だって!

ミシンメーカーのブラザーやジューキの日本人スタッフが、定宿にしているホテルだそうで、対日感情は抜群に良い。
…お言葉に甘える事にして、部屋へ。

部屋は上等上等。ダブルベッドに冷蔵庫、トイレもシャワーも問題なく使えるし、クーラーも効いている。
朝飯つきで$60/日は、バングラでは上のクラスなんだろうなぁ。


この日はシャワーでサッパリして、ベッドに倒れこんだ途端に眠りに付いた。やっと「伸びて眠れる」…

(続く)