それかぶって3分後また来てよ
こんばんは
深夜番組はあんまりよくわかりません
理解ができないよ
バイト先に大学生男子が3人
面接うけにくるみたい
「御堂さんの好きな男だよ」
なんて大野さんったら
どうせ私の男性遍歴べらべら喋って
私の邪魔するくせに
よく言うわね
おしゃれで長身で
チャイチャーン似だったら
どうしよう
そのときは大野さんを許さないよ
そんなこと考えながらの
れっすんとぅーざT-BOLAN
爆音爆音
眠れないのよね、
深夜番組はあんまりよくわかりません
理解ができないよ
バイト先に大学生男子が3人
面接うけにくるみたい
「御堂さんの好きな男だよ」
なんて大野さんったら
どうせ私の男性遍歴べらべら喋って
私の邪魔するくせに
よく言うわね
おしゃれで長身で
チャイチャーン似だったら
どうしよう
そのときは大野さんを許さないよ
そんなこと考えながらの
れっすんとぅーざT-BOLAN
爆音爆音
眠れないのよね、
ボボボーボ・ボーボボ第3巻より
「ねぇ、ユウ君の将来の夢ってなに?」
波打ち際に座るパチ美は
恋人ユウ君に問いかけた。
ユウ君はパチ美を優しく見つめると
「Sになることかな」と
恥ずかし気に、でもどこかたくましく語った。
「ハハハおかしいよな
Uのオレがこんなこと言うなんて」
Uの字に曲がった
顔でもなくかといって
胴体でもないそれを
ユウ君は小刻みに揺らしながら笑う。
その姿はとても切ないものだった。
そんなユウ君を見て胸を痛めるパチ美。
愛する人の夢を、どうして応援しないことがあるだろうか。
「ううん、おかしくない!
全然おかしくないよ!」
あわててそう言い放つパチ美の大きな瞳に大粒の涙を見た。
「なれるよ!
ユウ君なら絶対Sになれるよ!」
パチの両手は固く握りしめられていて
それは愛する人を応援する心のあらわれであっただろう。
Sにはなれっこない。
そんなことはユウ君が一番分かっていた
それでもパチ美の気持ちは嬉しいもので、
それとともに将来性の無い自分を憎んだ。
「ありがとう、うれしいよ」
それがユウ君の精一杯の言葉だった。
それ以上の言葉なんていくつもあるだろう、それでもユウ君はそんなありきたりな言葉しか吐けなかった。
パチ美はそれが嬉しかった。
そんな素朴なユウ君を誰よりも愛していた。
─ユウ君…会いたい…
会いたいよ…─
かつての恋人との思い出に浸るパチ美は涙を流し続けた。
本当にヤッ君を愛しているんだろうか、戻れるならばあの日々に戻りたい。
恋人が優しく笑ってくれたあの日々に。
ユウ君の胸の中に…。
「コラァ!
誰だ、人のマグカップに入ってるヤツは!?」
不意に聞き覚えのある声が外から聞こえたきた。
(この声は!)
「ユウ君!」
自分は今ユウ君に怒鳴られたのだ、どことない確信がパチ美を動かした。
ガバとマグカップから身を乗り出したパチ美は目を疑った。
ユウ君…が立っている。
しかしその姿はもはやUの字ではなかった。
数字の6。
それは顔立ちもはっきりとして、
かつてのユウ君を思わせない。
靴も靴下も手袋も当時のままだったのに、顔だけがキリリと冷酷なまでに変貌を遂げていた。
─ユウ君…
数字になったんだ…─
パチ美はそれでも穏やかだった
ユウ君が目の前にいる。
嬉しさに口元を押さえては、涙をぽろぽろと零す。
「6アタック!」
ユウ君がパチ美にダイナミックに体当たりした。
それはパチ美の左半分を捉えた、体のトゲがかすかに振動する。
「ぎゃ!」下品なうめき声をあげ、パチ美は吐血しながら地べたにたたきつけられた。
「キサマ
オレ様の家に土足で入り込むとは
このオレがこのコーヒーカップの守護神6様と知ってのことか?」
ユウ君は6と名乗った。
もはやそれはユウ君ではない別のものへ進化してしまったのかあるいは
ただの他人のそら似だったのか
パチ美は力なく自分の頬をさすった。
「……ユ…ユウ君…」
廻るカップに座るヤッ君。
何も言わずにただ遠くを見ていた。
こうして3人の恋の歯車は
回り始めたのであった…
そう
コーヒーカップのように…
ボボボーボ・ボーボボ第3巻より
エピローグ
コーヒーカップはグルングルンと心地よいスピードで回転を繰り返していた。
時折視界に入るカップルの数々。
自分もその中に混じって愛しい恋人ヤッ君に弁当箱を差し出す。
カップは相変わらずグルングルンと回転を続けていた。
弁当箱に入ったおにぎりはゆらゆらと揺れながら、
その湿ったからだを制作者の恋人に提示する。
「はいダーリン、いっぱい食べてね」
先ほどから口を閉ざしたままのヤッ君にパチ美はほのかな期待を寄せていた。
今朝早起きしてつくったおにぎりを見れば、
今はこんな仏頂面のヤッ君も笑顔を取り戻して
「おいしい、おいしい!」それをほうばってくれるであろう、と。
しかし、パチ美の期待もただの妄想でしかなかった。
コーヒーカップに気だるくもたれたヤッ君は、
やはり無表情にどこか遠くの上の方を眺めているだけだった。
口元はだらしなく半開きで、
かと言ってなにか言葉を発するわけでもない。
「あら?食べないの?
せっかく作ってきたのに」
パチ美は驚いてみせた。
なんとなく予想はしていたのだ。
長い時間を共にしてきた恋人の反応くらい解りたくなくても
解ってしまうものだ。
だから、表情はまるで驚いてはみせたものの
気持ちはやるせなく、
そして苛立ちに満ちていた。
それを知ってか知らずか
恋人ヤッ君は未だに同じ表情のまま、
けだるくカップにもたれ続ける。
「ふん、いいわよ!じゃあ私一人で食べるから!」
本当はそんなつもりで早起きしたわけじゃないのに
本当は大好きなヤッ君に
喜んでもらいたくてにぎったのに
パチ美はただその時の感情にまかせて小さな弁当箱の蓋を力任せに押し付けた。
おにぎりが蓋に押されて
少しつぶれたような感じがした。
─はぁ…
こんな時ユウ君だったら
喜んで食べてくれたのに…─
パチ美は昔の彼氏と、今現在力なく目の前に座る彼氏を
ついくらべてしまった。
ため息しか出ない。
泣く気にもならない、パチ美が泣いてもヤッ君はきっと
遠くを見続けるからだ。
自分も恋人のように遠くを見つめてみることにする。
無論コーヒーカップはグルングルンと回り続け
視界には同じ形をして違う色で塗り固められたコーヒーカップが
規則的にうごめく。
まるで各々の恋愛を示すようだ。
色とりどりに笑い声や笑顔が飛び交う
果たして真実などは知らないわけだが、
パチ美には自分たち以外
すべてのカップルが幸せそうに見えていた。
ふと気付くと、そこにはマグカップがあった。
明らかに乗り物として置いてあるとは思えない。
底が深くて、歯ブラシが二本…
懐かしい色の歯ブラシ
“ユウくん”と書かれたマグカップ、パチ美は黙視する。
あれほどに愛を求めた恋人がパチ美を切なげに見つめていることも知らずに。
「あれは、ユウ君と私の思い出のマグカップ!」
パチ美はふと我に返ると大きく言い放った。
そう、あれはかつて愛した恋人との思い出のマグカップだった。
なぜそれがこんなところに?
パチ美には考える余裕すらなかった、ただ走ってそのマグカップに触れたかった。
「ユウ君ー!ユウ君!ユウ君!」
パチ美はもはや壊れていた。
動き続けるコーヒーカップのステージを、カップを避けながら走った。
その足はよろめかず、そして迷いもなかった。
ガジガジとマグカップによじ登る。
「キャ!」
ベチャと音を立ててパチ美はマグカップの下へと叩きつけられた。
いつの間にかパチ美の瞳には涙が溢れていた
「いっぱいだよ…
ユウ君との思い出がいっぱいだよ…ユウ君…」
ー1ー