8月23日 例会 卓話
株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ代表取締役社長 北川 真也 様
私には岡山で小・中時代を過ごした母親がおります。三重県生まれの東京育ちの私が,縁あって当クラブの社長に就任してより1年半が経ちました。2008年にJ2リーグに昇格してから10年,これからどんなことが地域社会などにできるかを考えてまいりました。ファジアーノとは,イタリア語で県鳥キジを意味する言葉です。企業名のついたプロスポーツ団体は野球くらいで,ファジアーノ岡山のように,地域名をチーム名に入れるのは普通のことです。経済規模では東京・大阪には負けますけれども,スポーツにおいては勝つことができます。岡山を代表するチームとして,各地区代表チームと戦っております。プロサッカー団体は,J9 ~ J1の段階に分かれており,全部で約6000チームあります。J2で勝てばJ1へ昇格,そしてFIFA傘下211の国別地区の代表と争うことができるのです。プロ野球のWorld Baseball Classic では10カ国のチームが争いましたが,サッカーのWorld Cupあるいは Club World Cupは全世界で10億人が試合を観戦・視聴するわけです。岡山をプロモートするにはうってつけのスポーツです。
今考えていることの一つは,スポーツ観戦・参加という文化作りです。J2昇格当時の2009年,観客がプロサッカー試合を観戦するのに支払った金額は,岡山県民一人あたり11円/人でした。現在観戦料は全国最低レベルの1600円/人で,バレーボールやバスケットボールの一試合約3000円に比べて,ちょっと低いかと。そろそろ適正価格に上げたい(笑)とは考えております。もう一つは,ソフト部分のインフラ整備です。選手だけが岡山に赴任するのではありません。家族の生活,例えば子供達の通う小中高教育はどうするのかなど,そのインフラ整備も喫緊の課題としてこれから手がけてまいります。サッカーチームがハブとなって,岡山のプレゼンスを上げたいと考えているのです。
今一つは,専用スタジアムの建設です。ファジアーノ岡山は県営陸上競技場を本拠としていますが,じつは,学校関係の競技会等を優先するため開催時期に関してはかなり制限されます。また陸上競技場であるが故の選手と観客の距離が遠く臨場感にも欠ける等の不利な点があります。ヨーロッパ等の主要チームのスタジアムをビデオでご紹介しましたが,いずれも会議施設,コンサートもできるスペース,すてきなレストラン・コンベンション機能,ホテル,ショッピングセンター等を併設し,最寄駅から直結ないしは徒歩短距離にあります。全観覧席には屋根が,そしてグラウンドと同じレベルでの観戦も可能になっています。中には,電力も太陽光で賄い,作業水は地下水を利用するなどの配慮もしてあります。自動車で40分走って駐車場に入れて観戦というスタイルでなく,市民の日常生活に溶け込める複合施設を目指しています。
社名は,ファジアーノ岡山スポーツクラブで,サッカーに限ってはおりません。将来的には他のスポーツへのサービスも手がけて参りたいと考えております。皆様の一層のご支援をお願い申し上げます。本日はありがとうございました。
尾坂明義広報委員長 編集