サゲは無い | 転妻よしこの道楽日記

転妻よしこの道楽日記

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実は、実家のトイレが夏前から壊れていた。
壁に取り付けられているリモコンの効きがおかしくなり、
「大」に関するボタンはほぼ問題なく作動するのに、
「小」のボタンは押しても反応せず、水が流れなくなっていたのだ。
もうひとつ、独立してトイレのそばに設置されている手洗器の、
プッシュ式手洗いカランにも不具合があり、
押している間しか水が出なくなっていて、
片手ずつしか洗えない(爆)という困った状態が続いていた。

私は実家に顔を出すたびに、「修理せな」とせっついていたのだが、
実家母は「T○TOに電話したらええねん。わかってんねん」と言いつつ、
いっこうに実行に移そうとしなかった。
つまり、高齢(@86歳)により、決断力・実行力がなくなっているのだった。
しかし、そうこうするうちに、もはや年の瀬。
キレた私は先日ついに、独断でT○TOの修理部門フリーダイヤルに電話し、
私の行ける日に予約を取り付け、業者さんに実家まで来て貰うことにした。

その担当業者さんが、昨日、実家に来た。
私も勿論、時間を合わせて実家に行った。
すると、これまで少しも自分で動こうとしなかった実家母が、
不自由な足でいきなり私より前に出て、業者さんに説明を始めたのだ。
「足が痛くなったら大変だから、あっちで座って待ってれば」
と私が言ったら、母は不服そうに、
「ほんでも、このトイレを18年使うて来たのは、私らやもん」
と言い張った。

業者さんのお見立てによると、
手洗いカランのほうは部品の取り替えでなんとかなるが、
洗浄機付き便座のほうが、モーターが古くなっているし、
基盤のところまで茶色に傷んでいるので、反応が悪くなっている、
とのことだった。
そして、このぶんでは、今は機能している部分も、
遠からず故障する可能性が高い、というのだった。
このトイレは18年前に家をリフォームしたときに設置したもので、
一般的な家電の耐用年数から考えれば、もう十分に役目は果たした、
と言って良く、不具合の主な理由は、つまり経年劣化なのだった。
となると、「小」のボタン以外は今のところなんともないとはいえ、
この機会に温水洗浄便座そのものを交換したほうが良い、
と考えるべきだった。

「それやったら、もう全部を新しくしたほうがええね」
と母は言った。
今つけてあるものは旧式の一体型便器だし、全体に古くなっているので、
機能部だけを最新機種に取り替えるより、
陶器も便座もセットで新規に買い換えたほうがいい、
と母は思いついたのだった。
そして母は、18年前に家をリフォームしたときの話をし始め、
トイレのカタログを見て希望した型のものに在庫がなく、
仕方なしに妥協してこの型の陶器と洗浄便座とにしたが、
やはり不満が多々あった、という歴史を業者さんを相手にひとしきり語った。
なぜ、寒いトイレの前に立ち尽くして、
そのように長い昔話を聞かねばならなかったのか、
私には、――多分、業者さんにも――、ほぼ謎であった(爆)。

さて、それでトイレそのものを新しくするとなると、
その取付作業自体は、今回の修理担当部門の業者さんでも可能ではあった。
しかし、現在使っているトイレは古いので、既に廃番になっており、
新しいものを買うとすれば、多少なりとも型の異なる陶器や便座になり、
その前段階として床や壁の汚れ・使用跡などの清掃・補修からとなると、
工務店を呼んで貰わないといけない、と業者さんは仰った。
その際に、便器はT○TOの型番何番で等と、
工務店さんに指定して貰えると、うちとしては有り難いのです、と。
なるほど、床材や壁紙は内装業者さんの管轄になるわけだ。

……と私が納得していると、突然、母が憤然となって言った。
「T○TOさんなんて、大きな会社じゃありませんか!
天下のT○TOさんが、床の張り替え作業が出来んと言われるの!?」

おっっ、おかーーさまっっ、

業者さんは、誤爆並みのクレームにも慣れていらっしゃるのか、
特にうろたえた様子もなく、
「技術的には、床を剥がして剥がせんことはないんですが、
内装という点で、元通りに綺麗にならんというようなことがあると、
やはり専門の業者さんでないといけませんし、
ぼくらは、そういう仕事を請け負ってはいけないことになっているので…」
母はなおも食い下がった。
「じゃあ、あなたんとこで、どっか、一級建築士さんを紹介して下さる?」

な、なんでうちのトイレでわざわざ一級建築士ご指名!?

驚く私を尻目に、業者さんはツッコミを入れることなく淡々と、
「いえ、私からの、個別のご紹介のようなことは、承っておりませんので…。
当社のショールームにお出かけ下さいましたら、
リフォームやリモデルとしてトータルでご案内はできますが…」
「テレビ観よりゃ、T○TOさんのコマーシャルで、
そりゃもう、何でもできますて言いよるやないの?お風呂でもキッチンでも。
お宅の製品のトイレを買うて取り替えをするのに、
どうしてよその工務店さんを頼まんとできんの!?
しかもそれを手配するのはこっちでせんといかんとは、どういうこと!?」

************

足の痛い母が椅子に座ろうとして黙った隙に、
私は業者さんを物陰に呼んで(爆)、とりあえず手洗いカランのほうの修理を依頼し、
トイレを新規に購入する件は、改めて私まで連絡して下さるようにと頼んだ。
業者さんは、部品の納入日により次回作業日が決まるから電話する、
と仰り、とりあえずカタログを置いて帰って行かれた。

「前に来てくれた業者さんは、もっと若い人やったが、
私たちに納得の行くように説明してくれたよ。きょうの人は駄目や」
と母は怒っていた。
しかし多分、それは違うのだ。
『前に』というのがいつの話のことを指しているのか知らないが、
以前、何かで修理を頼んだときには、母は今ほど老いておらず、
怒りポイントもズレて(殴)いなかったし、
理解力も、もう少しあったということではないだろうか(爆)。

そういえば先日ファックスを新しく買ったときも
二度に渡ってサービスマンの人に来て貰い、
その都度、半日くらいかけて教えて貰ったにも関わらず、
母はその対応が気に食わず、「今時のファックスは駄目や」と言い、
結局、馴染みの魚屋さんに使い方を教わっていたものだったが、
そのように、ことあるごとに不満が多いのは、
来る業者さんが誰も彼もハズレなのではなくて、
むしろ原因は自分のほうにあるのではないかと、
一度は疑ってみるべきではないか。

「まったく、今日は驚いたねえ。天下のT○TOさんともあろうものが、
床の張り替えができんから、トイレの取り付けがひとりでできんとはね!
私ら、どこへも行けんから、テレビを観るしかないんやけど、
コマーシャル観よりゃ、そりゃもう、何でもできますて
いつも言いよるやないの?お風呂でもキッチンでも、洗面所でも。
トイレの取り替えが、よその工務店さんを頼まんとできんとは知らんかった。
そんなことテレビじゃ、一言も言うてへんのに。
それも、うちで手配せにゃならんとは。世の中ぁ、変わったね!!」

母の怒りは、留まるところを知らず、
何度言っても得心しないらしく、同じ話をずっと繰り返していた。
確かに、一昔前は、村の大工さんに電話一本すれば、
各種カタログを揃えてやってきて、
希望を聞いて陶器を取り寄せ、配管やら内装やらすべて手配し、
それぞれの業者さんを指揮して、短時日で完成させてくれたのだろう。
しかし、きょう試みた交渉はそれとは違い、
単に、メーカーのトイレの修理部門の人を呼んだだけなのだ。
床材のことまで責任を持てない・工務店さんを頼んでくれ、
という業者さんの説明は、しごく尤もなのだ。
リフォーム部門に最初から依頼していれば、違っただろうが……。

しかし、ともあれ、今、追求すべきところは、そこぢゃない(^_^;。
世の中が、「俺様ルール」に照らして間違っていようがいまいが、
あのトイレを放置して良いということにはならない。
この際、私が矢面に立つから、トイレの修理を進めてくれまいか。
なんなら、費用も持ってもいい。金額によるが………
必要なら私が工務店を探して来よう。
トイレが駄目になっちゃ、どうにも年が越せないじゃないか。

私の心の中は、いつしか、『文七元結』の娘お久の口調になっていた。
『おっかさん。これからは、まず、おトイレをしっかりなおして。
18年も経っていると、モーターの傷み方が、酷いから、ね?』
『「大」のほうまで、流れなくなると、ね?』(爆)。