魚住りえ&魚住恵 リーディングコンサート | 転妻よしこの道楽日記

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既に十日以上前の話になってしまったが、
2月28日に、西区民文化センターで行われた、
『魚住りえ&魚住恵 リーディングコンサート~朗読と演奏が奏でる詩情の世界~』
を聴いて来た。
魚住姉妹共演による朗読ピアノコンサートに関しては、
私は初回(2007年)から聴きに行っているファンで、
続編が企画されることを最初から希望していたら、
翌年に地元広島での再演(2008年)があり、
更に今回は、弦楽器ゲストも加えての発展版を聴くことができて、
当初の予想以上の可能性が開けてきたことを知り、とても嬉しく思った。

<第1部>~名曲コンサート~
ショパン:幻想即興曲
ショパン:小犬のワルツ
フォーレ:夢のあとに
サン=サーンス:白鳥
カザルス:鳥の歌
ファリャ:スペイン舞曲
J.S.バッハ:ガヴォット
ハイドン:ピアノトリオより「ジプシー風ロンド」

<第2部> ~朗読と演奏が奏でる詩情の世界~
宮沢賢治作「セロ弾きのゴーシュ」


第1部は、りえさんの司会、恵さんのピアノ&解説、
ゲストの熊沢雅樹(チェロ)さん、甲斐摩耶(ヴァイオリン)さんの
演奏が順に加わっての、豪華な名曲コンサートだった。
私はどうしてもピアノ寄りに聴いてしまうので、
ピアノが、ソロから始まり、伴奏になり、三重奏の一員になり、
……と役割を変えて行く様が、音色の多彩な変化と相まって、
とても興味深く感じられたのだが、
客席では、身を乗り出してチェロやヴァイオリンを聴いている、
小学生くらいのお子さんの姿もあちこちに見えたので、
それぞれ、各自の興味や楽器経験などに応じて、
聴きたいところが聴ける演奏会になっていたということだと思う。
各楽器のソロ曲から入って、最後にハイドンで三者の共演になる、
という流れは、とても楽しい構成だった。

第2部は、りえさん朗読による宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ』に、
ピアノ、チェロ、ヴァイオリンが絶妙に絡む朗読劇だった。
朗読劇、という言い方が適切かどうかはわからないが、
楽器がジングルや効果音的な役割を果たす部分もあれば、
物語の一場面として演奏そのものが前面に出る部分もあり、
そのつながりが全く自然で、完成度の高い舞台になっていたと感じた。
原作では、冒頭の第六交響曲が誰の作品であるか触れられていないし、
ねこの言う『トロメライ』はともかくとしても(笑)、
題名がありながら実は架空の曲というのが複数登場するので、
この作品を上演する際に、それらをどういう曲目にするかは、
演出担当者や演奏家の、選曲のセンスが問われる部分だったと思う。
今回演奏された曲目は、以下の通り。

ベートーヴェン交響曲第6番『田園』第一楽章より
プロコフィエフ:『つかの間の幻影』より第1曲
ショスタコーヴィチ:チェロコンチェルト1番より
シューマン:『子供の情景』より「トロイメライ」
プロコフィエフ:『つかの間の幻影』より第10曲
ブラームス:子守唄
プロコフィエフ:『子どものための音楽』より「マーチ」
シューマン:『子供の情景』より「見知らぬ国々と人々」
ポッパー:ハンガリアン・ラプソディー

りえさんの朗読で私が感銘を受けたのは、
登場人物を演じていながらも、一貫して「朗読」の範疇を
逸脱しないものだったという点だ。
「朗読」の場合、読み手は読み手であって、声優や俳優ではなく、
声色を作ったり演技したりすることは朗読本来の役目ではない、
と私は常々思っているのだが、りえさんの朗読もまた、
実に生き生きとしていながら、飽くまで、
「感情をこめて読み上げる」芸術表現を目指したものだったことが
強く印象に残った。

恵さん・りえさんは姉妹、熊沢さん・甲斐さんはご夫婦、
ということで、家族的なつながりが舞台の温かさとなって現れた面も
おそらくあったのではないかと思う。
『セロ弾きのゴーシュ』の素朴な世界とそれはよく調和して、
最後には私は、主人公ゴーシュの感激や満足、感謝に思わず同調し、
なんとなく涙ぐみそうにさえなった。
とても幸せな空気で満たされた公演だったと思う。

また次の公演が企画されることを願っている。
魚住姉妹も熊沢・甲斐ご夫妻も、それぞれお忙しいこととは思うのだが、
機会を見て、今後も是非よろしくお願い致します(^^)。



追記:今回の公演は来月、東京でも行われるようだ。
魚住りえ&魚住惠 リーディングコンサート
2014.04.19(土) 第171回よくばり音楽館
港区立高輪区民ホール 午後2時開演(午後1時30分開場) 
≪問い合わせ先≫
事務局 電話・FAX:03-3778-5424 Eメール:tmatanokura@yahoo.co.jp