昨夜のポゴレリチのリサイタルでは、
まるで百物語を聴いている気分になった。
話がひとつ終わるごとにろうそくが吹き消されて行く。
いずれもかつて聞いたことのない、
有り得ないほど凄惨な話ばかり。
しかも語り手はたった一人。
このまま百まで行ったら確実に何かが起こる。
何が起こることになるのか彼は知っていてやっているのか?
……幸い、昨夜の話は90話あたりで終わった。
語り手が、もっと効果的な、更に恐ろしい百物語を
別の晩にやり直すことにしたからだ。
お陰で、きょうもちゃんと朝が来た。
とりあえず私も命があった。