暑かったり寒かったり天候不順なので、
実家の80歳超夫婦はどうしているかと電話したが、
母はいきなり政府批判を始め、意気軒昂であった。
謹んで、かつ適当に拝聴したところで、話題を変え、
それで腰のヘルニアはどうなったのかと訊ねたら、
かなり良くなって日常さほど困っていることは今ない、
との返事だった。
「ただ、気づいてんけど、けんけんができないねん」
と母は言った。
1月下旬にヘルニアが原因で一時的に右足に力が入らなくなり、
その間、ちょっと移動するのに自由なほうの左足で
けんけんしようとしたのだが、もはや出来なかったのだそうだ。
何歳頃から自分がけんけんできなくなっていたか、
気がつかなかったけれど、・・・と母は言った。
「けんけん」は、実は意外と高い身体機能を必要とする動作で、
確か、乳幼児の発達段階の中でも3歳か3歳半くらいが目安だった。
走ったりつま先立ちをしたり、両足ぴょんぴょんしたり等の動作は、
2歳代でだいたい出揃うのだが、「けんけん」だけは違うのだ。
子供を見ていると、「けんけん」ひいては「スキップ」などが、
いかに高度な身体能力であるかがわかる。
つまり日常生活に関して不自由なく動けていても、
「けんけんができない」のは十分有り得ることだ。
ほんなら仕方ないか、と母は一応納得していた。
無理してけんけんに挑戦して転んだりするのはさすがに愚かしいし、
けんけんができなくても、別に何も困ることはなかった、
と考えついたようだった。
それから母は、最近は前頭葉がダメになった、とも言った。
モノの名前が思い出せなくて呻吟する気分になることが
とても多いのだということだった。
そんなのは私も同じだ。
先日も、話の途中で『片山さつき』の名が出て来なくて困り、
その後三日ほどずっと考えて(考えるなよ)ようやく思い出したのだ。
「中年になったら、みんな『あれあれ』『あのほら』で会話するねん。
脳味噌も、だんだん、けんけんできんようになんねん。正常やん」
と言ったら、母はまた納得していた。
きょうは案外素直だなと思った(逃)。