私は昭和のプロレスをさんざん観たので(テレビでだが)
アントニオ猪木のカリスマ性については
大昔からよくよく知っているつもりだったのだが、
ここに来て、このヒトってホントにとんでもないモノだった、
ということが、年々、強く実感されるようになった。
プロレスそのものはとっくの昔に斜陽だというのに、
アントニオ猪木のイメージとネームバリューは衰えることがない。
しかも本人は、これまで、それなりに失策がなかったわけではないのに、
というか手がけたことの大半は成功していないというのに、
結論としてはいささかも傷つくことがなく、
あたりをなぎ倒して、今もヘーキで生きている。
猪木の言い出したことのために、振り回され、失敗して疲弊し、
とり返しがつかなくなるのは、いつだって周囲の人間だけなのだ。
今度は北朝鮮までビジネスにしちゃうって、一体(大汗)。
猪木、衝撃提案 横田夫妻「北」へ招待(リアルスポーツ)
今の民主党政権は拉致問題解決には熱意が無いようだし、
ここで北朝鮮にピタリと照準を合わせた猪木の嗅覚は、さすがだ。
そして、今とりあえず予想できるのは、
最後に拉致問題がどちらへ行こうと、結局、猪木本人は何も失わず、
やっぱりヘーキで次のビジネスに乗り出すだろうということだ。
私は、数年前、力道山の未亡人の手記を読んだときに
(『夫・力道山の慟哭』田中敬子)、
猪木が力道山の元・弟子として、夫人の篤い信頼を勝ち得ていることや、
北朝鮮への橋渡しとして貢献したいと述べているのを知り、仰け反った。
いつの間に猪木は、力道山からすべてを託された、
一番弟子だったかのような話になっていたのか。
力道山の弟子になって修業時代を送ったのは間違いないが、
そんな、心温まる師弟関係だったなんて逸話は、
私は昭和の間には一度も聞いたことがなかったぞ?
力道山を心から敬愛していたのか?本当に???
儲かるかどうか以外の部分で、猪木が本当のところ
北朝鮮をどう思っているのか、私は未だに全然わからない。
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猪木といえば、目下の話題は映画だ。
アントニオ猪木 映画初主演 役柄は「ジイさんですかー!」(毎日新聞)
猪木は他人を騙して暮らしているヒトなので(逃)
『演技する』というのは彼の人生のパーツみたいなものだろうし、
筋書き通りに演じることもお手の物だとは思う。
それどころか、全員を裏切って自分ひとりで勝手に筋書きを変え、
結果、収拾つかなくなって、現場の責任者を辞職に追い込むような人間だ、
猪木は。
少なくとも、昭和のプロレスファンだった私の認識は、そうだ。
しかしそれにしても、映画の台詞が覚えられるのか(大汗)。
私は、なんのかんの言って、この映画を観に行ってしまいそうな気がしている。
そして私が猪木に関して最近で最も気に入っているのは、コレだ。
「クロレッツアイス® バースト」新TVCMスタート(キャドバリー・ジャパン)
正確にはこれは猪木本人ではなくて、アントキの猪木なのだが、
黄金に輝く猪木が、「起きてますかー!」とわき上がってきて、
キョーレツな闘魂ビンタをお見舞いするというものだ。
プロレスはただのスポーツではないし、
セメントでいくら強くても一流レスラーになれない。
もっと全人格的なところ――どういう人格かは凄い問題だが――
で勝負するのが、真のプロレスであり、そこにこそ醍醐味があるのだ。
それを理解しない人間はプロレスで成功することは無いし、
プロレスを観て面白がることも無理だ。
猪木ほど、私にそのことを鮮やかに示して見せてくれたヒトは他にない。
人間的には許せんが、猪木は正真正銘の天才なのだ。
人間的には許せんが。