きょうは、警報が出るほどの大雨の中、漢詩の会に出かけたら、
さすがに出席者が少なく、十名ほどだった。
体調を崩されている方や、雨に負けた方(笑)、
ほか、おうちのご都合がおありの方々等々、
いつになく大勢、お休みになっていた。
と、それはともかく。
カイロがどうのこうのと、先日来、ここに書いていたら、
なんと今回習った漢詩の中に、えらく近いところの作品があった。
明治時代の日本人・中井桜洲の七言絶句で、
『西紅海舟中(にしこうかいしゅうちゅう)』、
アラビア海を行く舟の中で作られたという一編だった。
煙鎖亜羅比亜海
雲迷亜弗利加洲
客心遙在青天外
九萬鵬程一葉舟
煙は鎖(とざ)す アラビアの海
雲は迷う アフリカの洲(しゅう)
客心(かくしん) 遙かに晴天の外に在り
九万の鵬程(ほうてい) 一葉(いちよう)の舟
もやが、アラビア海をとざす煙のようにかかっていて、
雲も、アフリカ大陸がどこにあるのかわからないほど濃い。
旅の身である自分は、日本からどれほど遠く隔たったことか、
鵬が旅するという九万里の道のりを越えてきたのだ、
この一枚の葉ほどの船で。
……というような意味合いだそうだ。
中国の故事に出て来る「一里」というのは、2キロほどだそうだが、
そうすると九万里というのは、……(大汗)、
いや、大事なのは計算ではなく、
そのように表現するのが相応しいくらい、遠く遠くまで来た、
という雰囲気、表現の迫力のほうなのだ。
作者の中井桜洲は、1838年鹿児島生まれ、
ということは、この人が誕生した当時はまだ完全に江戸時代で、
歴史で習った「天保の改革」よりも前だ(爆)。
明治維新後には中井弘の名で開明派として活躍したそうだ。
ジェット旅客機など想像もつかなかった頃に、舟で海外に出て、
実際にアラビア海へ、アフリカ大陸近くへと旅したというのは、
どれほど大きな出来事であったことだろうか。
平成生まれのうちの娘ですら「遠すぎる」と言う紅海の彼方だ。
その風景を、目の当たりにしたときの、
中井氏の受けた深い感銘は、察するにあまりある。