主人が
「面白かったよ~。読む?」
と言って、青柳いづみこ氏の、
『ボクたちクラシックつながり―ピアニストが読む音楽マンガ』を
貸してくれた。
ピアニストとしての青柳氏の視点で、
『のだめカンタービレ』『神童』『ピアノの森』を読む、
という内容で、私は三作とも知っていたのでとても楽しめた。
このうち『のだめ』に関して、漫画読者としての今の私は、
正直に言うと、やや屈折した感覚を持っている。
実は私はこの漫画を連載開始後すぐ、多分2002年頃に目をつけていた、
ほとんど最初期のファンのひとりだったと自負しているのだが、
その当時、主人に
「笑えるよ」
と言って勧めたのに、彼は、
「なんか、ぴんと来んわ」
と言って、第一巻の途中で投げ出したのだ。
それが、かなり経ってから、何がきっかけだったのか知らないが、
主人のほうがめきめきと『のだめ』に目覚め、
自分から新刊を買って来るまでになってしまい、
同時に『のだめ』はドラマ化され、世の中でも大評判になった。
だが、この頃既に『のだめ』は、私が惚れ込んだ初期のノリは失われ、
別の作品へと進化を遂げていた。
作品世界は広がり、深まりを見せたというべきなのだが、
私はもっと上っ面を楽しみたかったので、読者としては脱落した。
私が気に入っていたのは、けったいな人々の集まる音楽大学と、
天才なのにヒコーキに乗れない千秋、動物みたいな神経の持ち主のだめ、
・・・という側面だったのだが、今はそれでは済まなくなってしまった。
作品の主人公が、いつのまにか、
「滑稽な、でも愛すべき人々」から「崇高かつ深淵なる音楽そのもの」
へと変貌してしまったのだ。
拙サイトで注目していた頃(「音楽と漫画」・書いたのは2004年1月頃)は、
まさかヨーロッパまで舞台が広がるとは考えていなかった。
『のだめ』がここまで真っ向勝負の音楽漫画になるとは
私は当初、予想もしていなかったのだ。
しかし私が落ちこぼれて以降、『のだめ』は絶大な支持を得たので、
作品の方向性自体は大正解だったのだと思う。
私も、これを一緒になってのめり込んで楽しみたかったなあと
今となっては、とても残念に思っている。
主人は、今読んでいて初期の『のだめ』と最近の『のだめ』の間に、
なんら違和感も矛盾も感じないと言っているので、
単に私のほうの、出会いのタイミングが、早すぎただけ、
ということなのかもしれない。