4.「サンライズ瀬戸 / 出雲」
この寝台車だけは車両も新しく、かなり人気のある列車なので、
多分、今後も簡単に廃止されることはないと思う。・・・思いたい。
その名も、「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」。
前者は東京―高松、後者は東京―出雲市、を結ぶ寝台特急だが、
東京―岡山は併結されているので、完全にひとつの列車であり、
岡山から瀬戸大橋線と伯備線に分離されるかたちになっている。
90年代の終わりに登場した列車で、内装はハウスメーカーが担当し、
これまでの、古く侘びしい「夜行」のイメージは全くない。
広島を通らないサンライズを、なぜ私が愛好することになったかというと、
何よりもまず、これの下り線が、東京22時発で、
夜遅く東京を出て西日本まで帰る唯一の寝台特急だったからだ。
だが、利点は時間的なものだけでなく、実際に乗ってみたら、
これは新しい感覚で作られた、実に快適な寝台列車だとわかった。
数が多いのはB寝台だが、開放型のものはなく、すべて個室で、
狭いことは狭いが、一般のB個室より天井が高くて開放感が違う。
娘とふたりでの利用が多かったので、B寝台で二段ベッドの、
「B個室シングル・ツイン」に複数回乗ったし、
一度は、B寝台でもベッドが横にふたつ並ぶ「サンライズ・ツイン」が
うまく取れたことがあって、こちらはさらにベッドの幅が広く、
寝台車の個室にありがちな圧迫感が無くて最高だった。
「B個室シングル・ツイン」をどの程度快適と感じるかは、
個人の体型によるところが大きいと思う。特に上段は。
私がこれを最初に利用したときには、今より10キロくらい痩せていたので
上の段に寝ても、特にどうこう感じなかった。
だが2006年6月に乗ったときには、私は既にシッカリ肥満していたので、
上段で側臥位になると、揺れた拍子に転落するのではないか、
という恐怖を感じた。幅が足りない、という実感があったのだ(汗)。
もともと上段はエキストラベッドで、つくりももうひとつなので、
少なくとも、体の大きな男性にはシングル・ツインの上段はお勧めしない。
尤も、それでも寝台の上でちゃんと座ることはできるので、
昔の三段式の寝台列車に較べたら、雲泥の差ではあるのだけど。
**************
ということで、夜行列車に関する思い出を勝手に語ったが、
私にとって、今もなお夢のまま、実現していないのが、
寝台特急『北斗星』か『トワイライトエクスプレス』の
A寝台一人用個室『ロイヤル』に乗って一人旅をすることだ。
そして、今となっては、もう、ほかのいかなる列車にも連結されていない、
「食堂車」で食事をすることが、私の憧れだ。
主人も娘も抜きで、ひとりで何もかも決めて思い通りに行動する旅が理想だ。
老後の楽しみ、・・・・・・と言いたいところだが、
老後なんてものが本当にあるのかどうか誰にもわからないし、
それ以前に、今、寝台特急自体が加速度的に失われつつあるので、
この計画は、もう、人の思惑や家計さえも黙殺して実行に移さないと、
食べ損なったパルナスみたいな幻で終わってしまいそうな気がする。
実現が、急がれる。
(終)