紫苑ゆう『Legend of Shion―再会Part6』 | 転妻よしこの道楽日記

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昨夜は、紫苑ゆう『Legend of Shion―再会Part6』に
初めて行った。
前々から行きたかったのが機会を逃していて、
昨夜は、友人がチケットを手配してくれた御陰で、
ようやく見ることが出来たのだ。
場所はホテルオークラ神戸の宴会場『平安の間』。

紫苑ゆうは、92年から95年まで星組トップ男役として活躍し、
退団以降は敢えて一切の芸能活動をせず、
宝塚音楽学校講師を務めて今日に至っているという、
今も宝塚とともにあり続けている人なのだが、
退団後も彼女のファンを中心とする熱い支持は衰えず、
既に六回目を数える昨夜のディナーショーも、
十人ずつのテーブルが100以上並び、1000人超の参加者という、
宝塚現役トップにも全くひけを取らない大規模なものだった。

私の印象では、彼女は在団中からある種のカリスマ的な存在で、
「紫苑教」とも言えるほどの圧倒的な求心力でファンを惹きつけ、
「信者」たちはほかの一切を認めなくなるほど彼女に夢中だった。
そうした魅力があったのは、ひとえに、
彼女本人が全身全霊をあげて宝塚歌劇を愛して愛して、
宝塚の舞台の上でなら死んでもいいというくらいの熱い思いを、
旧大劇場三階のいちばん後ろにまで送り続けた人だったからだ。

少なくともトップになって以後、彼女は外部に出なかったから、
宝塚ファン以外で彼女の名を知っている人は少ないだろうと思う。
「紫苑ゆう」というスターは、宝塚大劇場でしか咲かない花だった。
彼女自身、自分のそうした適性をよく承知していただろうし、
そのような存在の仕方に一生を賭ける思いが強かったのだと思う。

私は敢えて言いたい。
テレビで大きく扱われ宝塚ファン以外の人に広く認められることは、
芸能人としては立派なことだろうとは思うけれども、
タカラジェンヌには本来、そのようなことは全く必要ではない。
真のタカラジェンヌは、宝塚を愛し、大劇場とともに生き、
そのことによってのみ、自分の真価を最大限に発揮するものなのだ。

昨夜、私にとって、ほとんど十年ぶりの「生・紫苑」様が、
会場後ろのドアからスポットを浴びて登場したとき、
その、現役時と少しも変わらないすらりとした姿に感動し、
同時に、表情など見えない遠方なのに、確実に伝わって来る、
彼女の華やかな笑顔のオーラに圧倒された。
そうだっ、これだっ、宝塚のトップはこうでなくては!!!

昨夜は初っぱなから、もうひとつ感動的なことがあった。
二曲終わったところで、紫苑ゆうは、
「きょう、どうしても来て欲しかった人がいて、
来てくれないかと思ったんですが、来てくれました」
と、客席にいる川井みな子(万理沙ひとみ)さんを紹介したのだ。
会場は俄に万雷の拍手になった。
列車事故の怪我のためか、舞台には上がらなかったが、
彼女が再び皆の前に姿を見せてくれただけで、
往年の星組ファンにとっては素晴らしいことだった。

「ずっと声出していませんので」
と遠慮する彼女に、紫苑ゆうが強引に、
「ふたりで、『うたかたの恋』を歌います」
と言った。会場はまたまた、万雷の拍手。

イントロが流れ、舞台の上にひとり立っている紫苑ゆうは、
既に完璧な立ち姿、完全無欠のルドルフ殿下!
王子様は客席を優しく見下ろして、切ない声で言った。

紫「まりさ、私と一緒に、旅に出よう」
万「はい!シメさんとご一緒なら、どこへ、でも!」

その『うたかた』の素晴らしかったこと!
紫苑ゆうの発散する男役としての香気が見事だったことと、
この役・この歌への彼女の思い入れが今も痛いほど伝わったこと、
そして、この宝塚を通じて一生の仲間であり続ける、
彼女と万理沙ひとみさんとの篤い友情が我々にも感じられたこと、
・・・そうしたものが、一度にこちらの胸に迫ってきて、
私は不覚にも涙がこぼれた。

このほか、懐かしい曲がたくさん披露されたが、
私にとっては、『ジャンプ・オリエント!』のサビ部分を、
客席も一緒に全員で振りつきで歌ったこと
(なんとか出来た。歌詞も覚えていた。我ながら凄い)、
『我が愛は山の彼方に』を台詞つきで聴かせて貰えたことが、
特に素晴らしかったと思う。

私にとって、昨今、宝塚が徐々にトーンダウンして来たのは
(飽くまで私にとって、だ。今のほうがずっといい、
というご意見は必ずあると思っている)、
こういう演目を演じられる生徒さんが居なくなったからだ、
ということが、昨夜はしみじみと感じられた。
だがそれはもう仕方がない。旧大劇場も旧東宝も既になく、
作家演出家も代替わりしつつあり、紫苑ゆうはもはや、
決して舞台に上がることはないのだから。

という訳で、ともあれ昨夜は本当に素晴らしかった。
1000人もの人が集まるには、なるほど理由があるのだとよくわかった。
紫苑ゆうは、今、音楽学校で次代のタカラジェンヌを育てていることを
自分の天職と思い、心から幸せに感じているのだと語ってくれた。
アンコールはなく、最高にご機嫌な「シメさん」の笑顔をもって、
ショーは約一時間半で終わった。
出席者は皆、紫苑本人が言ったように、
『じゃ、また来年!』
と言って別れた。


ところで、私は昨夜ひとつ発見をした。
宝塚OGファンばかりが集うと、そこで必ず出る話題のひとつが、
いま、だれ?
なのだった(^_^;。
私なら「たかちゃん(和央ようか)」と答えることになる訳で、
ほかには、「オサちゃん(春野寿美礼)」とか、
「彩乃かなみちゃん」とか、周囲にはいろいろな答えがあった。
中には、「ペ・ヨンジュン」と言った人も、いた(爆)。