先週あたりから、とみに姑の具合がおかしくなった。
一日中興奮状態で、何にでも過敏に反応し、
昼と言わず夜と言わず悲鳴のような声をあげていて、とにかく穏やかでない。
幻覚があるらしく、ベッドに横になっているときも、
しょっちゅう手を伸ばして何かに触れようとしている。
食卓につくと、眉間にシワを寄せてあちこち見ていて、
「誰?」「何?」と矢継ぎ早に尋ねて来る。
説明したりたしなめたりしても良い結果にならない。
痴呆もあるから、理詰めで解決しようというのはそもそも無理なのだ。
しかし、そうやって連日、力んでばかりいるのは体に悪そうで、
脈拍や血圧も上昇していそうだし、脳心事故でも起きては、
とだんだん心配になって、きょうは午後から、
いつもパーキンソン病を診て貰っているN神経内科に出向いた。
車の中でも、スピードが出ると姑がパニックになるので、
ヘルパーさんと一緒になだめながら行った。
が。なんとなく予想できたことなのだが、先生の言葉は、
「様子を見ましょう」。
だよな。結局そういうことなんだな。
一発でなおると期待して来た訳ではないけど、
薬を変えてくれるとか何かあるかと、ちょっと頼みにして来たのにな。
なんでも、木の芽立ちの頃というのは、普段穏やかな老人でも、
急に口数が増えたり、怒りっぽくなったりするものらしい。
主治医の意見では、単にそういう季節的なものだろう、と。
舅と私は、「それでは夜だけでも眠れるようにして下さい」と頼んだ。
姑に、夜な夜な叫んだり暴れたりされているので、
そろそろ舅のほうの体力が限界だからだ。
するとまったく予想通り、出された薬は安定剤ハルシオン。
なんだかとても虚しかった。
結局やっぱり治療は無いのだ。痴呆だからなおらないのはわかっているけど。
「木の芽立ちの頃」が終わったら、これって良くなるのだろうか。
ああ~(溜息)。
ただひとつの収穫と言ったら、
この一週間で、家族全員の演技力が飛躍的に向上したことくらいか。
とにかく姑の設定に合わせて行動しているから、
何かよくわからない透明なものを姑から手渡されて礼を言い、
ありもしないゴミを姑に指摘されて掃除し(パントマイムで)、
宙を飛んでいるらしい何ものかを姑とともに捕まえ、
掃除機を客に見立てて挨拶させられ。
まさに実生活で学ぶスタニスラフスキー・システム(全然違うだろ)。