人生初の富士登山からおよそ2週後、
富士登山リベンジ。
その記憶の残片。
足は地についたまま。けれど地球は丸くみえる。
8月27日土曜日。台風一過後すぐの終末で絶好のチャンス。
天気は期待通りの晴天。ダイレクトに受ける日差しは予想以上に肌を焼いた。
8~9合目あたりで地上を望む。
もはや目の前に広がる雲の層が、はるか低いところで広がって見える。
大げさかもしれないけど、この景色を見ているだけでも人生観が変わるかのよう。
日常の不満や苦悩、疲れなどは頭に入らなくなる。
登るか、降りるか。
ただそれだけの世界。
時々目にする置き去りされた空のペットボトルに憤りを覚える。
9合目の山小屋にギュウギュウ詰めで睡眠をとり、
朝4時ごろ、富士宮口頂上に到着。
9合目~山頂までの早朝(深夜)の登山は幻想的。
山頂、そしてご来光を目指すたくさんの登山者の列が
長蛇の列を作り、その懐中電灯の光が、まるで蛍の光
のように揺らめいて並んでいるのが見える。
テンションは次第に高まり、眠気などは全くない。
言葉は交わさずとも、共に登るたくさんの登山者たちとの
仲間意識が芽生えてくる。弱音など吐いている暇はない。
朝5時。神々しい風景を前に、ご来光を待つ。
残りわずかとなったデジカメのバッテリーを振り絞り、
どうしてもこの景色を残したかった。
言葉にならないほどの絶景をバックにして、一緒に
登った親友2人とのショット。
場所を決めて腰を下ろしてからすでに1時間。
ようやくこの旅のクライマックスを迎える。
朝5時40分頃。宇宙のでかさをかみしめる。
ご来光。
この景色を見るための旅。
空は快晴。もはや当然か。雲の層は遠くて低い。
氷点下の中、じっと待ち続けたカラダを、この朝日が
やさしく、そして力強く、あたためてくれた。
朝日を前に、目標達成の記録。
もはや顔のむくみだとか手足の疲労のことなど、頭の
片隅にもなかった。
あたたかい。
その喜びだけが、この場にいたすべての登山者の
感情を満たしていた。
そして来年、
この景色に出会うため、ここにまた戻ってくる事を心に誓う。





