僕は今川の向うの灯りを見ている。

左手に煙草右手にビール目には涙。

パンドラが匣の蓋をあけたように残った缶の中身を傾けた。

最後に残った物は希望。
こぼれ落ちなかった少量を一気に流し込んだ。

だから今日はもう寝よう。シャワーなんて浴びずに。
シャツも着たまんまで。
ズボンもはいたまま靴下だってつけたまんまベストだって羽織ってる。そのままの姿で。

翌朝きっと頭は割れんばかりのいきおいだろう。

でも僕はそれを希望と呼ぶのだろう。
何もできない自分が憎い
流れを作った自分が疎ましい
流れに翻弄される自分が情けない



強くなりたい
誰しもそう日の当たる人生を歩みたくて。


努力もなく光は浴びれない。まわりの羨望を背負うには相応の覚悟が無きゃダメなんだよ。

のうのうと暮らしてた俺はすとんとステージから弾き出された。

戻るにはどれくらいかかるだろう?
確実なのは逃げ出したほうが近道だってこと。

戻るにはどれくらいかかるだろう?
不確実なのは再び自分が光を浴びるため、ステージに立つこと。


今考えると、あそこからの眺めほどいいものは無かったな。
今では全てが霞んで見えるもの。


不確実さに賭けるのが自分の存在価値なのだろうか。
自分は果たして必要なのだろうか?


答えの出ない悩みが闇に溶けていく。