薙刀や小太刀が女性の武術の嗜みとされていた時代、武芸百般と呼ばれ女性がいた。高禄の家に育ち大きな健康な身体を持っていた。道場や馬場まで往来するので庶民もみんな知っていた。
実際相撲以外は何でもござれで身体を動かすのが大好きだった。少し遅れたが良縁を得て嫁いだ。子供も幾人か成した。
実は藩では困っていた。文武の奨励のため学問も武術も競わせるのだが、こと武術となると誰が藩内一かが怪しくなってくる。あの武芸百般に負けるのではないか・・・・。やはりやらせるか、否、止めておいた方がよいのでは、かんかんがくがく。
若い血気の腕自慢の侍の中には、「頼もう」と直接屋敷へ挑戦しに行く者まであった。剣術も槍術も柔術も・・・・。みんな捻られて帰って来た。
国許に帰った殿様が言った「弓なら苦しゅうない」。かくして男女混合弓術大会は盛会だった。殿様の照覧の結果はやはりあの武芸百般が藩内一。
しかし当時の侍の表芸の剣術と槍術ばかりは誰もがはっきりとさせたい。
藩内ではもう相手がいなくて、一人稽古をしているとか、何と屋敷の道場では夫が妻に師事しているとの噂まで広がっていた。
「江戸詰めにして道場破りでもやらせてみよ」殿様は自棄みたいに言った。
夫もそこは藩の重役である。「藩の名誉にかけてそれだけはなりませぬ、私めと子供が精進して妻の技を引き継ぎますゆえ」と申し上げた。
残念ながらこのようにしてスーパーウーマンの名は歴史に残らなかった。
(Jan.8,2005)
実際相撲以外は何でもござれで身体を動かすのが大好きだった。少し遅れたが良縁を得て嫁いだ。子供も幾人か成した。
実は藩では困っていた。文武の奨励のため学問も武術も競わせるのだが、こと武術となると誰が藩内一かが怪しくなってくる。あの武芸百般に負けるのではないか・・・・。やはりやらせるか、否、止めておいた方がよいのでは、かんかんがくがく。
若い血気の腕自慢の侍の中には、「頼もう」と直接屋敷へ挑戦しに行く者まであった。剣術も槍術も柔術も・・・・。みんな捻られて帰って来た。
国許に帰った殿様が言った「弓なら苦しゅうない」。かくして男女混合弓術大会は盛会だった。殿様の照覧の結果はやはりあの武芸百般が藩内一。
しかし当時の侍の表芸の剣術と槍術ばかりは誰もがはっきりとさせたい。
藩内ではもう相手がいなくて、一人稽古をしているとか、何と屋敷の道場では夫が妻に師事しているとの噂まで広がっていた。
「江戸詰めにして道場破りでもやらせてみよ」殿様は自棄みたいに言った。
夫もそこは藩の重役である。「藩の名誉にかけてそれだけはなりませぬ、私めと子供が精進して妻の技を引き継ぎますゆえ」と申し上げた。
残念ながらこのようにしてスーパーウーマンの名は歴史に残らなかった。
(Jan.8,2005)
