青は評判の馬だった。若いのに馬体が大きく馬力があり気性がいい。一人馬方の忠助も内心青が自慢でしようがなかった。自分が風呂に入らぬ日でも、青の体は濡らした藁で毎日手入れをしてやった。
突然村役を通して青をお城にとの話し。「殿様の目に止まった」と言う。忠助は悩んだ。幾ら金を積まれても青を手放したくない。
しかしそのような話しは普通断れないもので、青を連れて他国へ逃げようとさえ考えた。忠助は腹を括って幾度も村役に断った。
暫くして、お城から侍が幾人かやって来た。
「ほほう、確かにいい馬、手入れもいい」
「殿の良い乗馬になるであろう」
忠助は例え侍達に切られても青を手放したくないと身構えていた。
「ところで忠助とやら、相当の頑固者でまだ独り身とか。お城に上がらぬか、奉公じゃ」
「ええー(?)」
「ならば、この馬と別れることもない。そうせい、お主の未来もきっと開ける」と高級武士らしきが言った。
お城では青以外の馬の面倒もみて忠助は懸命に働いた。「忠助、馬を引け」と殿様。直ぐに轡(くつわ)を取る役になった。何と殿様は大変なおしゃべりだった。お陰で忠助は耳学問だが侍の世界にも明るくなった。
「殿様はおしゃべり、だが聞いたことは決して他言してはならぬ」毎度の如く上からの厳しいお達し。その内に厩舎を預かる侍となり嫁ももらったが、殿様の乗馬の際は轡を取り続けた。
元々頑固者の忠助だから、例え切られても殿様のおしゃべりの内容を他言しないとの確かな判断が、あの時の高級武士らしきにはあったのであろう。本当にスカウトされたのは青でなく忠助だった。
(Feb.17,2005)
突然村役を通して青をお城にとの話し。「殿様の目に止まった」と言う。忠助は悩んだ。幾ら金を積まれても青を手放したくない。
しかしそのような話しは普通断れないもので、青を連れて他国へ逃げようとさえ考えた。忠助は腹を括って幾度も村役に断った。
暫くして、お城から侍が幾人かやって来た。
「ほほう、確かにいい馬、手入れもいい」
「殿の良い乗馬になるであろう」
忠助は例え侍達に切られても青を手放したくないと身構えていた。
「ところで忠助とやら、相当の頑固者でまだ独り身とか。お城に上がらぬか、奉公じゃ」
「ええー(?)」
「ならば、この馬と別れることもない。そうせい、お主の未来もきっと開ける」と高級武士らしきが言った。
お城では青以外の馬の面倒もみて忠助は懸命に働いた。「忠助、馬を引け」と殿様。直ぐに轡(くつわ)を取る役になった。何と殿様は大変なおしゃべりだった。お陰で忠助は耳学問だが侍の世界にも明るくなった。
「殿様はおしゃべり、だが聞いたことは決して他言してはならぬ」毎度の如く上からの厳しいお達し。その内に厩舎を預かる侍となり嫁ももらったが、殿様の乗馬の際は轡を取り続けた。
元々頑固者の忠助だから、例え切られても殿様のおしゃべりの内容を他言しないとの確かな判断が、あの時の高級武士らしきにはあったのであろう。本当にスカウトされたのは青でなく忠助だった。
(Feb.17,2005)
