同類相憐れむで、次・三男の部屋住み達には自然に幾つかの仲間ができた。各グループ間の喧嘩も激しかった。
そんな殺伐とした部屋住み達の中で澄三郎は大人だった。喧嘩の仲裁などで人望が高かった。兄二人は立派な侍になっていて、弟の澄三郎にしばしば小遣いをくれた。だから澄三郎は部屋住み達にもよくおごった。
しかし自分の歳を考えると焦りもあった。別に学問や剣術など諸芸に秀でている訳でもない。婿養子の口に恵まれるような美男子でもない。このまま一生部屋住みというのでは悲しい。侍の家に生まれたからには、やはり役について世のために働きたい。部屋住み達の本心は皆同じである。
長兄の長男が四歳になる。ずっと澄三郎に懐いて付いて廻る。
「お武家さん、お坊ちゃんですか、可愛らしいこと」と町人の女。
「否、私は甥の遊び相手です」
それがきっかけで町人の女と親しくなった(澄三郎の遅い初恋)
実は女は同じ位の歳の息子を亡くしたという後家だった。藩出入りの御用商人でもあり、澄三郎を主人に迎えたいと言ってきた。澄三郎の家では親族会議。
「元々が家付き娘、いい縁かも知れぬ」
「しかし武家ではないし、澄三郎に商人が勤まるかどうか」
長兄と次兄との意見に二分。
「澄三郎には人望がある。きっと良い商人になろう」との長兄の結論。澄三郎は婿養子に入った。やってみれば澄三郎には商才もあった。そして奉公人達の人望も得た。藩への出入りも上手くこなした。
江戸表の店も広げた。澄三郎には他にも周旋の才があって、部屋住み達や娘達の他藩や他家への縁組みまで面倒をみた。藩としても実は大いに有難かった。
「改めて澄三郎を取り立てよ」と捨扶持をもらい、侍にも戻った。
そんな殺伐とした部屋住み達の中で澄三郎は大人だった。喧嘩の仲裁などで人望が高かった。兄二人は立派な侍になっていて、弟の澄三郎にしばしば小遣いをくれた。だから澄三郎は部屋住み達にもよくおごった。
しかし自分の歳を考えると焦りもあった。別に学問や剣術など諸芸に秀でている訳でもない。婿養子の口に恵まれるような美男子でもない。このまま一生部屋住みというのでは悲しい。侍の家に生まれたからには、やはり役について世のために働きたい。部屋住み達の本心は皆同じである。
長兄の長男が四歳になる。ずっと澄三郎に懐いて付いて廻る。
「お武家さん、お坊ちゃんですか、可愛らしいこと」と町人の女。
「否、私は甥の遊び相手です」
それがきっかけで町人の女と親しくなった(澄三郎の遅い初恋)
実は女は同じ位の歳の息子を亡くしたという後家だった。藩出入りの御用商人でもあり、澄三郎を主人に迎えたいと言ってきた。澄三郎の家では親族会議。
「元々が家付き娘、いい縁かも知れぬ」
「しかし武家ではないし、澄三郎に商人が勤まるかどうか」
長兄と次兄との意見に二分。
「澄三郎には人望がある。きっと良い商人になろう」との長兄の結論。澄三郎は婿養子に入った。やってみれば澄三郎には商才もあった。そして奉公人達の人望も得た。藩への出入りも上手くこなした。
江戸表の店も広げた。澄三郎には他にも周旋の才があって、部屋住み達や娘達の他藩や他家への縁組みまで面倒をみた。藩としても実は大いに有難かった。
「改めて澄三郎を取り立てよ」と捨扶持をもらい、侍にも戻った。
(Mar.12,2005)
