西国の春一番は大陸のからの黄砂の到来である。天空は黄色がかった青空だった。高田半四郎は城下の賑わいの中にいた。道場の帰りに、少ない小遣いで書物を購入して、屋敷へ帰り読もうとしていた。部屋済みの身にこれとて他にすることもない。
「お武家さん」と声をかけられた。
「何だ」と答えるとやくざ者らしきが体を摺り寄せて来る。
「雄治の身内の者で、親分に会っていただきたい」
「雄治か・・・・」
懐かしくも昔屋敷にいた小者で、子供のころによく遊んでくれた。今の雄治は在所で小さな組を構える親分だった。
待合で酒を酌み交わしながら、
「お坊ちゃん、良かったら暇つぶしでも組へ遊びに来なせい。実のところは若い者に剣術の手ほどきをお願いしたい」と手を付いた。
半四郎も正直なところ暇つぶしには面白かろうと思った。
「まー何と言え、あの雄治の頼みだから・・・・」が言い訳。
道場にも屋敷にも黙って一人こっそり組へ出かけた。雄治の組の喧嘩剣法はなってなかった。特に間合いが取れてないし、無駄な動きが多過ぎる。
幸い半四郎は小太刀も得意だった。長ドスの喧嘩に小太刀の技は最適。雄治を始めやくざ者たちをびしびし鍛えた。雄治の組の腕前はめきめき上がった。雄治は半四郎にその都度小遣いをくれて感謝した。
黄砂も終わった頃に突然の話しだったが、道場主の伝手で半四郎は隣の藩に婿養子に入った。あの懐かしい部屋住み生活を思い出しながらも城勤めに忙しかった。
ある日雄治の組が何倍もの敵との出入り(喧嘩)に勝ったとの風聞。
暫くして「全てお坊ちゃんのお陰」と雄治が挨拶に来た。何と雄治はこの藩まで縄張りにした大親分になっていた。
「あたしゃーね、こんなやくざだが、お侍だけは尊敬していましたんで。お坊ちゃん、失礼、貴方の腕前は早くから見込んでおりましたよ」
半四郎は黄砂の降る中でやくざ者たちを鍛えた日々を少し複雑な思いで考えていた。
「黄塵万丈か・・・・」
(Feb.23,2005)
「お武家さん」と声をかけられた。
「何だ」と答えるとやくざ者らしきが体を摺り寄せて来る。
「雄治の身内の者で、親分に会っていただきたい」
「雄治か・・・・」
懐かしくも昔屋敷にいた小者で、子供のころによく遊んでくれた。今の雄治は在所で小さな組を構える親分だった。
待合で酒を酌み交わしながら、
「お坊ちゃん、良かったら暇つぶしでも組へ遊びに来なせい。実のところは若い者に剣術の手ほどきをお願いしたい」と手を付いた。
半四郎も正直なところ暇つぶしには面白かろうと思った。
「まー何と言え、あの雄治の頼みだから・・・・」が言い訳。
道場にも屋敷にも黙って一人こっそり組へ出かけた。雄治の組の喧嘩剣法はなってなかった。特に間合いが取れてないし、無駄な動きが多過ぎる。
幸い半四郎は小太刀も得意だった。長ドスの喧嘩に小太刀の技は最適。雄治を始めやくざ者たちをびしびし鍛えた。雄治の組の腕前はめきめき上がった。雄治は半四郎にその都度小遣いをくれて感謝した。
黄砂も終わった頃に突然の話しだったが、道場主の伝手で半四郎は隣の藩に婿養子に入った。あの懐かしい部屋住み生活を思い出しながらも城勤めに忙しかった。
ある日雄治の組が何倍もの敵との出入り(喧嘩)に勝ったとの風聞。
暫くして「全てお坊ちゃんのお陰」と雄治が挨拶に来た。何と雄治はこの藩まで縄張りにした大親分になっていた。
「あたしゃーね、こんなやくざだが、お侍だけは尊敬していましたんで。お坊ちゃん、失礼、貴方の腕前は早くから見込んでおりましたよ」
半四郎は黄砂の降る中でやくざ者たちを鍛えた日々を少し複雑な思いで考えていた。
「黄塵万丈か・・・・」
(Feb.23,2005)
