城下の堀の傍には大身の武家屋敷が続く。堀田家もその一つで厳めしい門構えであった。その日は人の出入りが激しかった。親族会議が開かれていた。若い当主に子がなく病篤く後継者を決めねばならない。

部屋住みの次男と三男がいるがもう養子入りの話しが決まっていた。
「いまさらの破談もなかろう」
「こまったのう」

「いっそ婿を捜すか」
堀田家には出戻っている一人娘がいた。
「実はこれも出戻った部屋住みが一人おる。ここだけの話しだが相手が狂気と分かって・・・・年格好も丁度良い」

「しかしなー来てくれるだろうか」
「堀田家の娘の離縁の事情は城下の誰もが知っていた。猛女! 高禄の武士は外に女を囲うこともある。嫁いだとときにはもう女がいた。

屋敷には道場もあり娘は兄弟たちの中で育ち一番強かった。夫に女のいることを知ると夫を足腰が立たぬまでやっつけて実家へ戻った。

「微禄ながら当人は師範代をつとめ互いに知らぬ仲でもないと言う」
二人の弟は姉が屋敷で手合わせたことも知っていた。
ただ一抹の不安も無くは無かった。
「ご存知のように姉は気性も実力も我々以上、夫になられる御仁も城下一・ニの使い手・・・・」

「何を心配しているのだ」
「ただこの屋の平穏無事」
「断じてそういうことにはならぬ!」と姉は弟たちをきっと睨んだ。
弟達はそれ以上姉に反論できるわけがなかった(怖い)。

ことはその線でまとまった。
しかし弟たちが縁付いたころ堀田家は 剣術屋敷と呼ばれるようになった。



                                             (Jan.18,2005)    
 城下の堀の傍には大身の武家屋敷が続く。堀田家もその一つで厳めしい門構えであった。その日は人の出入りが激しかった。親族会議が開かれていた。若い当主に子がなく病篤く後継者を決めねばならない。

部屋住みの次男と三男がいるがもう養子入りの話しが決まっていた。
「いまさらの破談もなかろう」
「こまったのう」

「いっそ婿を捜すか」
堀田家には出戻っている一人娘がいた。
「実はこれも出戻った部屋住みが一人おる。ここだけの話しだが相手が狂気と分かって・・・・年格好も丁度良い」

「しかしなー来てくれるだろうか」
「堀田家の娘の離縁の事情は城下の誰もが知っていた。猛女! 高禄の武士は外に女を囲うこともある。嫁いだとときにはもう女がいた。

屋敷には道場もあり娘は兄弟たちの中で育ち一番強かった。夫に女のいることを知ると夫を足腰が立たぬまでやっつけて実家へ戻った。

「微禄ながら当人は師範代をつとめ互いに知らぬ仲でもないと言う」
二人の弟は姉が屋敷で手合わせたことも知っていた。
ただ一抹の不安も無くは無かった。
「ご存知のように姉は気性も実力も我々以上、夫になられる御仁も城下一・ニの使い手・・・・」

「何を心配しているのだ」
「ただこの屋の平穏無事」
「断じてそういうことにはならぬ!」と姉は弟たちをきっと睨んだ。
弟達はそれ以上姉に反論できるわけがなかった(怖い)。

ことはその線でまとまった。
しかし弟たちが縁付いたころ堀田家は 剣術屋敷と呼ばれるようになった。


                                             (Jan.18,2005)

 
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