イメージ 1

イメージ 2

                                              太郎左ヱ門

又母親のお藤と嫁さんのお千との諍い。奉公人達の手前もあるし、近所迷惑や商売のことも考えろと省三は言いたくなる。先代の父親が生きていた頃にはこんなことはなかった。第一お藤が、器量がいいの気立てがいいのとお千を見付けて来た。

「俺の代になって女共はなめているのか。どうにかしなければ・・・・」と考えた。昔から兄事している両吉親分に相談した。
「成さぬ仲と言うのかな。女同士が一番いけねー。お前を巡っての女の戦いよ。お前も腹を括って暫く家を出ろ。お店を空けても大番頭がいる」

又奥で食事をしているとき嫁と姑の諍い。
「二人ともうるせいやい」と膳を放り投げた。そして嫁さんを張り倒し、母親を蹴り倒して、
「俺はこれから好き勝手に生きて行く」と家を出た。

長屋の一人住まいを始めて時々店の者が金を持って来てくれる。初めて飲み打つ買うの道楽三昧もやってみた。しかし直ぐ飽きた。本音は帰ってお店で商売がしたい。
ところが暫くして、何のことはない、嫁さんのお千が通い妻。母親も時々覗きに来る。
「やっぱり俺はぼんぼんで意志薄弱か」と反省する省三。

お千が身ごもった。奥向きの様子も変わるだろうからお店に帰ってくれと大番頭の伝言。
「否、俺はあんな家には帰らないと伝えてくれ」と省三。
「母上とご新造さん(嫁さん)とじっくり話したら如何ですか」と出張ってきた大番頭。
「話したって無駄よ」
そこへ「省三、居るか」と両吉親分。
二人の話を聞いて「省三、お前はもう一度反省しろ。あくまであのお店の主人はお前だ」
「お前は優し過ぎるのだ。今度は男らしくでーんと構えていろ。ずっと主人の居ないお店もおかしい」

さて家に帰った省三。商売には熱心に取り組んだが、母親にも嫁さんにもきつく当たった。
奥では空気がぴりぴりしだした。お藤とお千との省三に対する態度が違ってきた。お千の出産の準備で女同士が仲良くするようになった。
「ああ、これで上手く行ったか」と省三。
しかし長男の宮参りの頃から又諍いが始まった。
「もう俺は反省しない」と誓った省三の「成さぬ仲、冥土までの、嫁姑」



                                             (Apr.4、2005)