生きて。 | from NewOrleans

生きて。

2017.8.7(月)

仕事を終え、急いで病院へ。

今回は個室。

入院当初、大部屋が空いてなかったみたいだと相方。

今日からは口の酸素マスクは外れたみたいだけど……鼻からだけじゃ凄くしんどそうだった。

カテーテルに、オムツ。

指には常に血中酸素測れる器具が。

色々とチューブ沢山。

トイレ……大きい方は、看護師さんの介助有りでオマル?か、個室のトイレを使用。

この日はまだ個室のトイレまで歩いて行けていた。



センサーマット……聞いたら、夜中に動いてしまうことがあったみたい。

日中や、誰か付き添いがいる場合は切っても問題無いみたいで良かった。

近くで見てないと見逃してしまう。小さな動き。

なるべく先回りして聞いてあげる。yesかnoだけで答えられるように。

指差しだけで完璧に解ってあげたい……。

一言発するだけで相当辛いみたいだし。

思っていたより深刻な事態だったのかもしれないけど、意識はハッキリしていて、意思の疎通も出来たし、何よりも顔見れただけで安心しちゃった。

ちょっと……今はしんどいけど、快復してくれるんじゃないか。

そう思えた。

ただ、食欲が落ちてる。

今までは入院時に一日か二日位は2割程度しか食べられないことがあったけど……それ以外は9割食べられていた。


今回は食べられても4割~5割、少ないときは一口か二口だと。

食べたいリクエストが有れば、お母さんが買い出しに行って、半分位は食べていたみたい。

牛丼や、みよしのの餃子カレー。

うん。牛タンや鰻や焼肉、生姜焼きなら食べられそう?食べたいと思う?って聞いたら、食べたいと。

じゃ、土用だったし、夕飯は鰻でも買ってこようか?

……お袋が何か作って来るって言ってたから、来てみないと……。 

そっか。それならお母さん待ってないとね。

あたしがでしゃばれないよね。


取り敢えず…今日暑いし、アイスでも買ってこようか?

アイスなら食べられる?

食べたいと。メロンのアイスが食べたいって。

急いで買い出しに。



ゆっくりゆっくり食べました。

残しちゃっても良いよ?カップだから、冷凍庫に入れておくから。

って完食びっくり

良かった。少し安心。

程無くして、お母さんも到着。

え!?

顔面に酷い怪我……どうやら、買い出しに行った時に転んでしまったらしい。

病院へ行ったか聞いたら…こうなったら、下手に治療しても意味がない、時間が経つまでしょうがないからと。

あたしや、看護師さんが言っても頑なに病院は行かないと仰るので、それ以上はもう何も言わなかった。

夕食の時間。

今日はサラダにホッケの焼いたのと大根おろしにヒジキの煮物、お味噌汁、果物でした。

お母さんは相方の好きな、牛肉と竹の子の甘辛煮を作られてきた。

卵焼きも作りたかったんだけど、電話が着ちゃって間に合わなかったのよ~。  

と、いそいそと相方の為に準備を始める。

相方…まだ食べたくなさそう…。

…自分のタイミングで食べるから…。 

うん。うん。良いよゆっくりで。大丈夫。ゆっくりで。

そうね、そうね。でもほら、あんたこれ好きでしょ?頑張って一口でも食べてみて?あたしも片目で作ったから、自信は無かったんだけど、良い味になってるわ!残ったら明日の朝に食べれば良いんだし、……あ、大根おろしは食べないわよね?前も食べなかったから、避けておくわね。…あー、このお魚じゃ、あんたは好きじゃないわよ。ほら、お肉でご飯食べましょ?ね?ほら一口!  

……お母さん、それ逆効果です……。

相方、そんなに言われたら、逆にますます食べたくなくなっちゃう……。

やんわりと、

今はまだしんどいみたいですし、自分のタイミングでって言ってるから、放っておきましょ?

言ってみたけど、全然伝わらず…。

お母さんが、相方の為に一生懸命に作られたのは解りますが…。

居たたまれなくて、少し席を外しました。

戻ってみたら…うん。ご飯一口しか食べられなかったみたい。

今日はしんどかったね?食後のお薬もしんどいみたいだから、少し待ってからにしよ?

食事はそのまま下げました。

牛肉は冷蔵庫へ。明日の朝、食べられたら食べなよ?

でも、一人じゃ冷蔵庫に取りに行けないし…あたし朝も来る? 

…お母さん待って。

今相方は一人じゃ動いちゃ行けない。
食事もあたし達が居なければ、看護師さんが運んでくれる。

飲み物も冷蔵庫に入ってる。

取りに行けない。…普段、看護師さんが取ってくれてるはず。

……お母さん、看護師さんが取ってくれますから…。

と言うのが精一杯でした。

いつもの入院なら、夕飯前にお母さんお帰りになられていたけど、今回の状況ならしょうがないか。

結局、19時過ぎにお母さんはお帰りに。

…車で来ていたらしい。

だってこの顔じゃ地下鉄に乗れないでしょう?
怪我が酷い方の目は普段から見えてないんだし、利き目はこっちだから大丈夫よ!
 
…そーゆー問題ですか……。

正直、あたしの理解を越えてました。

お母さんが病室を出て、相方が一言。

あんな調子だから疲れる。
あれだけ言われたら食う気無くすわ。 

うんうん。大丈夫、それあたしには解ったから。

食べられないと、心配だけど、今は頑張らないで良いよ。

『生きる』のには頑張って欲しいけど、多分今一番の治療法は『頑張らない』事。

頑張っちゃったら、息苦しくなっちゃう。

酸素入れてても、常に苦しいんだもん。頑張らないで。

そんな事を言ってた。

でも、お薬呑むのに何にも食べてないと、胃が荒れちゃうかも…。

これ以上の不具合は起きて欲しくない。

あ!ね?キャラメル食べられそう?

キャラメル…食べたい!

直ぐに買ってくるね!キャラメル食べてからお薬呑もっか!

近くのコンビニで、キャラメルと…ミルキー餅なるお菓子を買いました。

相方が好きそうだから。

病室に帰り、まだ食べないだろうから、包装だけ破り、食べたくなったら食べてね?お薬は看護師さんに来てもらって呑みなよ?

と伝え、面会時間も迫ってたので帰る準備をしようかと思ったら、

キャラメル頂戴。ミルキー餅も食べる。 

……パクパク食べちゃいましたびっくり

お薬もあたしがいる内に呑めちゃいました。

良かった……少し安心。

二人で過ごせた時間は僅かだったけど……。

相方、頑張って『生きてる』。

まだまだ生きていてもらわなきゃ……。

生きて。