次回上演候補の初稿をあげた.
 それに前後して,考えた.

 商品たりうる料理をつくることのできる個体は,それを商品にするために店舗を持つ.出資してもらえるcaseもあるがそれは稀だ.小規模な店でも日本円にして一〇〇万程度は要る.
 彼らはriskを背負って自らの商品を売りだす.商品がよくても売り方がまずくてスってしまうことも珍しくない.

 徹底的に検討したうえで世に問う資格があると判断したのなら,出資という果報を待つより,責任を取れる程度のriskなら冒してしまえばいい.

 羊頭狗肉は合法だが道義的に問題だ.料理店の看板を掲げて不味いものを供して料金を徴収してはならない.
 宣伝する資格について,ずっと気にしていた.他人にとって無価値な作品を宣伝して,駄作なのに重版されるような恥曝しにはなりたくない.
 じぶんの作品群は他人にとって無価値か? 妊娠し易い女のように作品が宿ってしまうから量産しつつ,自問自答を続けてきた.コンペに勝てないということはおれの作品群は失格なのではないか? 出資者が現れないということが証左なのではないか?

 ヒト本来の寿命とされる41歳の誕生日まであと2.5年,おれは,責任を取れるriskを背負って,我が子を売り込むことにした.