アニメ MASHLE(マッシュル)のレビューです。未完結の作品ですので、今後評価が変わる可能性があります。

  • 概要 ☆☆☆★★(2/5)

魔法が全てのファンタジー世界で、魔法が使えない青年が魔法学校のトップを目指す、ギャグとバトルのアニメです。設定はブラッククローバーのパク・・・オマージュですが、学校や魔法に関する様々な設定はむしろハリーポッターのオマージュが多くなっています。序盤はギャグ要素がメインですが、中盤以降はむしろバトル要素がメインになっていきます。
肝心の評価ですが、かなりイマイチです。
  • かみ合わない設定とギャグ要素

まずギャグ要素ですが、幼稚なものが多く、クスリと笑える程度のものはありますが、たいして面白くはありません。もとが少年ジャンプの掲載作品なので致し方ないのですけれど。それに設定が重すぎてギャグとかみ合っていません。そもそも主人公は生まれながらに魔力がなく、そのことが周囲にばれれば即死刑です。主人公の育ての親も、何をやってもうまくいかず、人生を悲観して自殺を考えていたところ、捨てられた赤子の主人公を見て「まだ自分を必要としてくれている存在が居る」と感じ、自殺を踏みとどまっています。そして主人公のことが発覚した時は、命がけで彼を守ろうとし、暴行を受けても決して主人公の情報を漏らしません。主人公は主人公で育ての親を愛しており、「じいちゃん(育ての親)と一緒に平和に暮らす」のを目標に、素性を隠して魔法学校で一番になることを決意するのです。彼らの親子愛は感動的なのですが、ギャグ要素が多いために今一つ感動できません。
  • バトル要素もギャグとミスマッチ

そしてバトル要素ですが、ギャグのノリのまま唐突にバトルに入っていくので、どうしてもバトルに真剣み感じられず、見ていて違和感を覚えてしまいます。例えばですが、火球の魔法が直撃した場合、ギャグアニメであればすすけた顔とアフロヘアになってしまい、数カット後には何事もなかったかのように元に戻るのがお約束ですよね。逆にシリアスなアニメなら、重傷を負って瀕死になってしまうかと思います。このアニメの場合、前者のようなノリで話が進むのに、重傷を受けているからアレ?となるのです。
後半になるともはやバトル要素が加速し、学園生活のような閑話はなくほぼ毎回バトルシーンとなっていきます。主人公の戦いは命がけで、1回でも負ければ即死刑が待っているという、非常にシリアスな戦いで、こちらもそのつもりで見るようになっていきます。それなのに戦いの最中に急にシュークリームを食べ始めたりするので、今一つ主人公らが真面目に戦っているように見えません。
  • 人物描写、ストーリー性は薄い

そもそも、魔法が使えないことが発覚すれば即死刑の主人公が、魔法学校に入学する時点でだいぶ無理がありますし、元がギャグ路線のためにストーリーはかなりちぐはぐです。しかも序盤のギャグ路線から急にバトル路線に方向変換するため、学園内はもはや無法地帯です。
登場人物の描写も浅く、シスコンのイケメン、無理やりフィアンセを名乗るヒロイン、ヘタレのツッコミ役、など属性が与えられているだけで、それぞれのキャラクターに信念のようなものがあまり見られません。敵役に至っては「自分より弱いやつはクズ」というようなサイコパスばかりです。
  • ギャグ要素さえなければ結構名作かも

多分ですが、このアニメ、ギャグ要素を排除すればかなり面白くなると思います。そうすれば感動的なヒューマンドラマも活きてきますし、主人公の理不尽な扱いに共感して憤ることもできますし、同じバトルも命がけなシリアスさが感じられるようになるでしょう。もう少し人物描写に深みも出せると思います。ギャグ要素がこの作品の魅力を全てを台無しにしているように思います。ギャグ要素がないとブラッククローバーの二番煎じ感が出てしまうのを、編集は嫌ったのでしょうか。最初はギャグで始めておいて、次第にシリアスなバトル漫画に移行する、というのは少年ジャンプあるあるなのですが、この作品は最初から青年誌でシリアス路線で作ってくれれば何倍も面白くなったのではないかと思います。