皆さん良くこんな議論をネット上で目にしませんか??

 

1.深夜人気のない道を露出の多い服装で女性が歩いていたら、男に襲われた。以前から付近で不審者が出没しており注意喚起が出ていた。

A「そんな恰好で不用心に深夜に出歩いている女も悪い」

B「何言ってるんだ、どんな服装を使用が女性の自由だし、襲う男が悪いに決まっている。被害者を責めるなんてセカンドレイプだ」

 

2.「元本保証、毎月投資金額の10%の利益が出る」と言われ信じた男性が1000万円の詐欺被害にあった。

A「そんなあからさまな嘘に騙される方も悪い」

B「騙す方が100%悪いに決まっている」

 

あなたはA派ですか?B派ですか?

実はこれ、どちらも正しいんです。ただ、二人では考えている視点が違うんですね。特にA派の人は不謹慎と叩かれがちですが、B派の人にも分かりやすいよう、少し違う例を出してみましょう。

 

3.女性がライオンの檻に手を突っ込んで噛まれて大けがをした。柵に手を突っ込まないように、という注意書きもあった。

これだとB派でも流石に女性が悪いと思いませんか?

 

1と3は実はそっくりな内容ですが、大きく異なるのは加害者が男かライオンかという違いです。被害者の女性vs加害者の男、だと、誰がどう考えても男が100%悪いと思います。しかし被害者の女性vsライオン、だと、ライオンが悪いという人はあまり居ないと思います。ライオンは判断力も責任能力もない動物だからです。

 

つまりA派の人は、加害者の男や詐欺師のことをまともな人間だと思っていないのです。「世の中には女を見れば襲ったり、金を持っている人を見れば騙そうと考える、人の皮をかぶった獣が存在する。そんな獣をいくら責めたところで被害が回復するわけでもなく無駄である。獣に近寄らないよう自らの身は自らで守らなければいけない」、そんな考えが根底にあるのです。

 

B派の人の「女性がどんな格好でも深夜でも安全に歩ける世の中であるべきだ。真面目に生きてさえいれば人から騙されたりしない世の中であるべきだ」という考えは全くもってして正しいです。しかしA派の人からしてみると、「世の中には危険が満ちているのは常識である。その中を何の用心もなく無防備に歩けば、暴漢やら詐欺師の被害に会うのは必然で、自業自得である」と思えるのです。

 

話している視点が異なるので、どちらかが正しいとかどちらか間違っているわけではないんですね。AとBでこういう議論をすること自体に意味がないのです。

 

ちなみにA派は男性、B派は女性が多いのではないでしょうか。Bの方が共感性が高いんですね。被害者に同情しており、A派の発言は人の心が分からない、血も涙もない発言に聞こえます。一方でA派の方が理性的で、Bの発言は愚かで何の発展性もないと感じます。被害者の何が悪かったかを確認すれば、次からどのようにしたら被害を防げるかという知見を得ることができるのですから。

 

どちらの人もスルー力は大事ですね。