半分コ、とはいったものの、いつもタマはヨシアキのオヤツを半分以上平らげてしまう。
さっさと自分のを食べ終えて、こっちが食べている所をじっと見ているタマに、どうしてもヨシアキが勝てないからだ。
「もうちょっと、食べる?」
半分コしたハズのロールケーキ。
ヨシアキは自分のぶんから一口フォークでとりわけて、差し出す。
「うん。」
嬉しそうに答え、あーん、と口をあけるタマ。
食べさせてやって、頭をよしよしする。
そうすると、タマはとても幸せそうな顔をした。
それが、ヨシアキにも嬉しかった。
ただし、学校から帰ればタイクツだったとまとわりつき、
遊びに行くといえば自分も行くと言って聞かず、
うるさいタマがいるので勉強はとても自分の部屋ではできず、
ついでに夜の方が元気らしく、なかなか寝かせてもらえない。
可愛い時ばかりではなかったが、それでもヨシアキはよく相手をしたし、結局タマが嬉しそうにしていればそれで満足なのだった。
ヨシアキとショウリは、コンビニエンスストアにいた。
「ヨシアキ、お前ツナ缶なんか買って食うのかよ?」
遊んでいるうちに少し空腹を感じ、何か買おうということになったのだった。
「あ、これはオミヤゲ。ぼくは“うますぎる棒”にする。」
ヨシアキは笑って言った。
ショウリはますます疑問を感じる。
「オミヤゲ?ツナがか?」
「うん、タマがスキなんだよ。」
決して多くないおこづかいからタマの好物を買ってやると、ヨシアキは1個20円のスナック菓子しか買えなかった。
それでもタマの好きなツナを買って帰ってやりたかった。
ショウリは少し不機嫌そうに
「お前、タマになんか術でもかけられてんじゃないか?」
と言って、じっとヨシアキの目をのぞいた。
ショウリの目はつり上がっていて、笑っていないときは怒っているとしか思えなかったし、どうも酷薄に見えた。
しかし、実際のショウリは多少乱暴で意地悪な所もあるが、基本ヨシアキには優しかった。
キツいその目は斯波家独特の遺伝らしいが、それでも少しだけ、ヨシアキは緊張した。
「そんなこと・・・ないでしょ?」
「ん・・・たぶんな。平気そうだ。」
何を見ていたのかはわからないが、一応なんともないと言われてヨシアキは胸をなでおろす。
「じゃ行こうよ。」
「おー。」
二人はそれぞれ目的のものを買うと、コンビニを後にした。
次の日、教室でヨシアキが友達と話していると、ショウリが割り込んできた。
「ヨシアキヨシアキー、いいこと教えてやるよ、ちょっとこーい。」
「え、ぼくタカヤくんたちと、あっ、あー・・・」
まだ話していたのに、ヨシアキは強引に友達の輪から引っ張り出される。
廊下に出ると、ショウリは声をひそめた。
「タマの話だよ、あすこじゃできないだろ?」
「え、タマ・・・?」
ヨシアキが興味をしめすと、いたずらっ子の顔でショウリは笑う。
「そーだよ、タマの一番好きなもん。
ばぁちゃんが教えてくれたんだ。」
「え、なになにー?教えてっ。」
「今日帰ったら教えてやるよ、一緒に買いに行こうぜっ。」
ヨシアキは喜んでうなずいた。