狭苦しい部屋でオッサンが二人、まだ酔っ払っていた。
「ヨシアキー、お前相変わらず弱いな。
顔、少し赤いぞ。」
「しょーちゃんこそ、ヨッパライのさべり方になってるよぉ。」
どっちもどっちだった。
ショウリが言い返す。
「さべるって何だ、ばぁかやろ。お前はビールっか飲んでねェだろ?
オレは日本酒だ、一緒にすんな。」
「お酒強くたってエラくないから。」
ヨシアキはむくれた。
「キリコに比べりゃオレも弱いさ。」
言って、ショウリはテーブルの上の惣菜に箸をつける。
近所のスーパーで買ってきたものだ。
もう残りは少ない。
ヨシアキはそれに気付くと、立ち上がった。
「もう食うものないね。おれ何か作るよ。」
「冷蔵庫、何もないぞ。」
それでもヨシアキは、いくつか残っていたタマゴと、ひからびかけた野菜を調味料とぐるぐるして何とか一品作り上げてしまった。
ショウリは一口食べ、つぶやく。
「ん、悪くない。
・・・お前が女なら、もらってやるんだがな。」
相変わらず、長い髪の下の表情はよくわからない。
どうも口ぶりがシャレにならない感じだ。
ヨシアキは不愉快さを全面に押し出して抗議しておく。
「やめてよ。お互い一人だからって悲しすぎる。」
ショウリはショウリで、それに別角度から反論する。
「オレはスキで一人なんだよ。」
同じ独身でも、ショウリの方は家事全般まるっきりダメ。
自炊と言っても、焼く、ゆでる、レンチンぐらいが精一杯だ。
逆にヨシアキは、読書と映画(ドラマ)鑑賞の次に趣味としてランクインしてしまうくらい、マメに料理のウデを磨いていた。
彼の得意料理の一つには、おいなりさんも入っている。