「ダメッ!」

 ヨシアキはタマを抱きしめた。

 「ヨシアキちゃん?」

 ばあちゃんが声をあげる。

 「タマは、今日からぼくんちの子になるから、ダメ!」

 ワケもわかわらず、涙目のままでタマは自分を抱きしめるヨシアキの顔を見つめていた。

 「はァ?」

 「無理にきまってるじゃん!」

 ショウリとキリコから同時に否定の声が聞こえる。

 ヨシアキはそれでも諦めない。

 「タマはぼくの妹にする、だからイイコにするよね?約束できるよね?」

 数秒、タマは呆然としていたが

 「うんっ!イイコにする!ゼッタイする!」

 まだ涙の光る顔で嬉しそうに笑ってそう答えた。

 ばあちゃんは考え込んだ。

 「・・・んん、んむ・・・そう、だねえ。」

 ヨシアキはその顔を見て、さらに頼み込んだ。

 「おばあちゃん、お願い!タマを閉じ込めないで。」

 すると、ヨシアキの真剣さに打たれたショウリも、遠慮がちにではあるが横から入ってきた。

 「ばあちゃん、どうしてもダメか?」

 キリコがそれをとがめる。

 「何言ってんのショウリ、おばあちゃんは」

 全部言わないうちに、ばあちゃんは結論を出した。

 「ま、いじゃろ。」

 「いいのぉ?!」

 キリコは面食らった。

 ばあちゃんは優しい顔で笑った。

 「うん、いいじゃろ。今のところ悪さもしなそうだし、ヨシアキちゃんみたいないいお兄ちゃんがついてれば、ねぇ?」

 「ありがとう!おばあちゃん!!」

 ヨシアキとタマが喜びいっぱいに礼を言い、ばあちゃんはそれに満足そうな笑みを返した。

 「ショウリ、ヨシアキちゃんにもしおかしなことがあったら、キリコと二人で何とかしてあげるんだよ。いいね、キリコも。」

 二人はそれに異存もなく、タマはばあちゃんに人間と暮らすときの注意点をイロイロ教わり、このときからヨシアキと暮らすことになった。

   ◆

 「なつかしいよね、タマ憑き事故。」

 ヨシアキは愉快そうに言った

 「あぁ、これでヨシアキはキツネ憑きだなって言ったら、タマが」

 二人は顔を見合わせてハモる。

 「「キツネじゃないよー、タマだよー。」」

 「だもんなあ、ははは!」

 「キツネなんだけどね、あはははは!」

 二人のヨッパライは、心底楽しそうに笑い続けた。