妄想タイム
初めて姉ちゃんからもらったバレンタインは、綺麗な紙の箱に入ったミントチョコだった
当時の俺は中学生のガキで、緑がかったチョコなんて知らんし
でも、数日眺めてるうちに興味出てきて
勇気を出して1つ、口に入れてみた
2つ目…3つ目
ただいーまー
姉ちゃんの変なイントネーションが響く
今だな、お礼言わなきゃ
まだ俺しか家に帰ってなかったから、今しかない
『お帰り、あの…この前もらったチョコ…美味しかった…ありがと』
【ホント!良かった、私もあのチョコ大好きだから、今日も買ってきちゃった】
ご機嫌にカバンから例の箱を出して見せてくる姉ちゃん
【誠也くんと好きなものが同じで良かった♪】
急に体が熱くなって、自分でも顔が赤くなってるのが分かったから、急いで自室に戻った
この箱、姉ちゃんも持ってるんだよな…
そのときは、俺と姉ちゃんの二人だけの秘密ができた気がして
なにか特別なものを共有している気がして
照れくさいような、嬉しいような、ちょっと舞い上がった
その後、俺が中学を卒業するまでチョコは貰えてたけど、最初のミントチョコのインパクトを超えることはなかった
結局10年以上経っても、引き出しに入ってる
不思議と捨てられない紙の箱
空になったんやし、いつでも潰せるのに…
なんでなんやろな
