妄想タイム【セットアップを着たAぇの佐野くん】


地図の読み方が合っていれば、ここを真っ直ぐ行くと美術館が見えるはず


それより気になることが…さっきから私の行く先に男性がいる


セットアップが似合うスラッとした体型


改札口でも、下車したホームでも、彼の美しい立ち姿は私の目に留まっていた



偶然にも、彼と私の目的地は同じ


少し体温が上がったのを自覚した



美術館の説明文を読むフリをして、横目でチラリ


重めの前髪、メガネをかけていて、塩系のお顔

ピアスなし、指輪なしのシンプルな装い


品のある雰囲気に色気を感じた



近からず遠からずで彼を目で追いたくなった



彼越しに絵画を見たり、自分の視野の端に彼を感じたり


お客さんが疎らな美術館で、バレちゃいけないゲームをしながら、一人でスリルに興じている


この後ろめたさも美味なもの



彼は学生さんかしら、デザイン系の仕事してる風にも見えるし、スタイル良いからモデルもあり得る


こんな想像も楽しい



彼がある絵画の前から動かなくなった


柱によりかかる、白い洋服を着た女性を長い時間眺めている


それは一目惚れ?それとも昔から知ってる女性だった??誰にも言えない気持ちを隠し持ってるとか?


白い服の女性に心奪われている彼を遠くから眺める私は、切ない顔をしてますか?


いやーん、これって三角関係じゃん!


なーんていう勝手な想像も自由だ



美術館の出口が見えてきたので私のゲームはここで終了


ありがとう、名も知らぬ彼よ

この下らないゲームに付き合ってくれて



美術館の外にあるベンチで一息ついていたら、ふと香りがした


続く