妄想タイム
ある日のお昼前
会社の廊下で藤ヶ谷くんと出くわした
【あの、今ちょっとお時間良いですか】
私は喫煙スペースに向かっていたため、彼と共に入った
『ごめん、私、吸うね』
彼は静かに話し始めた
【前の彼女の件なんですけど、今週中に連絡して、謝まる機会を設けようと考えてまして】
【殴られたり蹴られたりも、覚悟してます】
『うん、いいんじゃない、2年分の蹴りを受け止めてらっしゃいよ』
私が『決心したのね』と言うと、彼は私の目を見ながら
【○○さんと再会して、自分を律せたというか、弱かった自分と向き合うきっかけを頂けたと思ってます】と。
はっ?ワタシ巻き込まれてる?
止めて止めて、私きっかけなんて止めてよ!!と抗議しようとした瞬間
末澤が喫煙スペースに入ってきた、おまけに後ろから正門くんが付いてきた
OMG
息が止まりそう
よりにもよって…なぜ末澤は正門をこのタイミングで引き連れてくるんだよ、正門は吸わないだろ!!
全員が気まずいテンションで発した【お疲れ様です】
誰も心底(お疲れ様)なんて思っちゃいない
空気清浄機が悲鳴を上げそうなほど、この場の空気はどうかしてる(-_-;)
いま、ここで下手に会話を打ち切るのは不自然なので、藤ヶ谷くんとの会話を続けた
『でもさ、私きっかけってのは、ちょっと異論があるんだけど、私そんなに鬼かね??』
フフッ
反応したのは末澤だった
【ごめんなさい、つい可笑しくて、○○さんはちょいちょい鬼ですよ、なぁ、正門!】
【いやー、あの、僕はなんとも…】
【鬼じゃないですよ、綺麗な心の持ち主ですよ】
おっとー、空気読んでくれよ藤ヶ谷!無理かぁ、コイツには
藤ヶ谷くん以外、全員下を向くしかなかった
居たたまれない、とはこのことか
私は藤ヶ谷くんの背中を押して喫煙スペースから出て、本題に戻した
『今、私と勤務先が同じであることは彼女には内密にね、そこを宜しく』
はい、分かりました、と一礼して彼は去っていった
はぁー、しんどい、もう1本吸いたい、でも喫煙スペースにはあの二人がいる、戻れない
チッ、コーヒーを補給するか
お昼ごはんまで、もうちょい時間あるけど乗らないなぁ
引き出しの整頓でもしようと身体を屈めようとしたら、私のスマホが光ったのが見えた
続く
