捨てることは、本気を見せること | 豊田礼人の正しく愛される経営術

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レイマック代表で愛される会社経営コンサルタント(中小企業診断士)の豊田礼人(とよたあやと)のブログ。

■どこに絞るのか?

ひとつの分野に絞って、そこに経営資源(ヒト・モノ・カネ)を注ぎ込み、徹底的に磨き上げていくことで競争力が増し、業績は上向く。

言うのは簡単ですが、実際にやろうとすると二の足を踏んでしまう。

今コンサルティングで関わっている会社もそうでした。色々と幅広く事業を行ってきて、成長してきたのですが、業界の流れが変わり、業績が一気に下降してしまいました。

「何でも屋」では生き残れないのは頭では分かっている。しかし、どこに絞り、何の専門家になればいのか決断できない。

絞ることは、他を捨てることですから、この決断は相当に勇気がいることです。

■経営者の重要責務

決断ができないのは、決断をする経験が少ないことも原因としてあります。これは2代目3代目の経営者に多く見られる現象。

業界が好調で、普通にやっていれば売上が伸びていった環境では、ヒリヒリするような、身を削るような決断は必要ありません。だから、決断することに慣れていない。

しかし環境が変われば、方向性を変える決断が必要になる。「慣れていないから」では済まされず、放置しておけば業績は下がるばかりです。

会社をどの方向に進めるのかという決断。これをやらずして、経営者の仕事を全うしていることにはなりません。

逆に言えば、これさえできれば、あとは何もしなくてもいいくらい。それくらい、経営者にとって重要な仕事だと思います。

■本気がファンを生む

どこかに絞って、ひたすらその道に進むこと。それにかける思いが本物であれば、多くの社員、そして顧客をも惹きつけ、ファンを作り出します。

すべてのメニューを一律280円でそろえる焼き鳥店の「鳥貴族」。全国に500店を展開し、業績も好調。さらに1000店の新規出店も視野に入れているそうです。(日本経済新聞2016年4月25日)



外食チェーンの多くが新たな業態に手を広げる中で、鳥貴族は焼き鳥ひと筋をあえて貫いています。

社長の大倉氏は、このことについて、「そのほうが焼き鳥にかける思いを社員に訴えやすいから」と言っています。

絞るということは、経営者の「本気」を見せること。

それが、社員を動かすのだ、ということです。そして、顧客をも惹きつけます。

■自分レベルの視点で

自分レベルではいかがでしょうか?

どこかに絞るということは、何かを捨てることだから、正直すごく恐いこと。

だから、捨てずに増やし続け、気がついたら何屋なのか分からなくってしまっている・・・。

そうなると、顧客から見ても魅力がないし、社員やスタッフさんの求心力も低下します。

しかもすべてが中途半端になりがちだから、自分自身のストレスもたまる。

自分は何が得意で、何をしている時が充実感を感じるのか?

そして、世の中は(顧客は)どう動いているのか?

この2つ。

そこに答えがあるはず。

応援しています。

(メルマガ「愛される会社の法則」第585号より)