映像と子供への影響 | ずぼらママのお気楽育児学

映像と子供への影響

前回までの記事が湯汲先生のブログ内では『最近「子ども事情」part1AD/HDの理解と対応』というカテゴリーでした。今日からは『Part 2』に入ります。引き続き青字はブログの引用です。

今日はADHD問題とは少し離れますが、子供に事実をすべて見せるべきか、見せる影像を制限すべきか、という興味深いお話でした。


子どものなかには、毎日の戦争のニュースに反応してしまう子がいます。テレビを見ながら、そのうちに自分が銃で撃たれる、殺されると思い、恐怖心を持ってしまいます。

子どもは、悲惨なニュース映像によって心理的な外傷を受ける可能性があると報告されています。この点において日本人は鈍感で、子どもは悲惨なニュース映像にさらされ続けています。大人は、見せるべき映像について一定の制限をすべきと感じます。



話は少しずれますが、私が通った小学校は普通の町の小学校でしたが、反戦という立場の政治グループに賛同する先生が多く集まっている学校でしたので、平和教育という名の下で1学期間、国語・社会・図工が連携して反戦を学び続けるという特徴がありました。そしてその内容はとてもリアルで、戦地の状況の白黒写真を沢山見続けてそれについて考察したり、ありとあらゆる反戦系文章を読み続けました。更に、戦争に関する巨大な絵も数か月かけて描き上げました。

他に選択肢はありませんでしたし、毎年繰り返される反戦教育に徐々に慣れていってしまいましたが、やはりあの写真を見る授業は強烈な物があったと記憶しています。

問題は、その写真そのものを見せる事ではなく、背景の説明が偏ってはいけない、という事だと思います。歴史的事実ですから一切を隠す必要は無いと思いますが、なんのフォローもないままその強烈な画像だけを見せては、子供のショックが計り知れない事は確かです。

映像を撮る人はよりリアルにより迫力を持たせてと思うでしょうし、今の技術がそれを可能にしている事は間違いありません。ただそのショックな画像だけを見せる事は、子供を突然夜の墓場に置き去りにするくらい(まあ、これが的確な例えかどうかは別として)ひどい事だと思っています。

幸い私自身は小学生の時に受けた反戦教育そのままの偏った考え方では育ちませんでした。その後本を読み、その戦争ひとつとっても小学校の時には聞かされなかったような周囲には様々な考え方が渦巻いている事も知りましたし、そしてそこから派生した産業についても学びました。またその戦争によって多くの人が身体だけでなく心にも傷を負ったこと、身体の傷だけでなく心の傷を癒すお医者様があることなども知っていったわけです。

こうして、ひとつの凄惨なニュースには様々な要素が絡み合っているわけですから、衝撃的な1コマだけをパッと見せてしまうことは、大人にとって無責任この上ない態度と言えるかもしれません。

ではどの時点で開示していくか、というのもまた難しい問題であります。
最近私は息子に開示し始めた所でもあるのですが、興味がある方向から少しずつという風に気をつけています。

例えば、息子はもともと忍者が好きだったのですが、そこからスパイに興味を持ったんですね。その流れでではスパイと軍隊は何が違うのかと進みました。その先には武器です。というわけで、たまたま見つけた軍隊全鑑みたいな図鑑を買ったら戦地でのその武器の使われ方という画像が色々出ていたんですね。

そこで、やっと戦争の話開始です。
ちょうど歴史の授業なども始まっている年齢ですので、子供向けの歴史の本をパラパラめくりつつ概要だけ説明します。この国がこういう状況だったんだけど、こっちの国がどうで、という感じですね。いいか悪いかとかは無しで、とりあえず状況の説明だけしました。

結果どうなったか、じゃあどうしたらいいか、子供の言葉で結論づけさせました。単純に軍隊カッコイイで終わらせたくなかったですし、逆に戦争はだめだと理由なく結論づけたくも無かったですね。

子供の結論の流れはとても短絡的ですし、概要だけなんですが、でもそこには政治だけではなく産業も絡んでいることを知る良い機会だったと思いますし、怖い画像を見せなくても子供には十分な想像力があるし、理解力があると感じた出来事だったといえます。

また地震や噴火、山火事などの自然災害についても日頃の生活の中で、例えば熱いお湯をうっかり触った時に熱いという感覚だけ体験しておくと、別の時に噴火の話が出ても溶岩はあのお湯にうっかり触っちゃった時とどっちが熱いか、という想像上の比較が可能になります。あとは何が溶けるくらいの熱さかという例えは、子供にとってとてもわかりやすいようです。

津波のニュースも画像そのものを見せなくても日頃海で波の高さを知っていますから、あの波が●●につくくらいの高さまで来たんだって、と説明するとどのくらいの力があったかイメージできるんですね。

子供時代はこうやって子供が持つ想像力をうまく利用して説明していくことの方が有効な気がします。

私自身の経験をふまえてみても、やはりこの湯汲先生のおっしゃる『見せるべき映像について一定の制限をすべき』に同意します。