明るくって、少しバカ
ロック史上最も愛嬌のある4人組、THE WHO!
2008年の後半、おそらく僕がもっとも聴いた曲はザ・フーの<マイ・ジェネレイション>だ。ロックのクラシック中のクラシックであり、永遠のキラーチューン。カバーしているアーティストは挙げたらキリがないだろう。オアシスのライヴDVDを観ていたら、ラストに自分たちの曲ではなく、<マイ・ジェネレイション>を演奏していた。この曲をタイトルに冠した『マイ・ジェネレイション』はザ・フーのファーストアルバムである。
ザ・フーはビートルズ、ローリング・ストーンズと並んで“イギリス3大バンド”に数えられる、ロック史を代表するバンドだ(ちなみにこれにキンクスを加えるとイギリス4大バンドになるらしい)。
ビートルズ、ストーンズ、ザ・フー。この3者の関係は、ちょうど兄弟のようである。長男(ビートルズ)は天才肌で女の子にもモテる人気者。そんな長男を尊敬しつつ密かにコンプレックスをもつのが、秀才肌の次男(ストーンズ)。そして三男(ザ・フー)は、ストイックにロックの可能性を追求する兄二人を横目に見ながら、「楽しけりゃいいじゃん」と自分の好きな音楽を演奏することだけに熱中している。
後期ビートルズのような求道者的な難解さ、60年代ストーンズのアウトローさといったものは、彼らにはまったくない。末っ子特有の底抜けの楽天性が、三男ザ・フーの魅力だ。その分何がしたいのかよくわからない失敗作も数多くあるのだが、それでも「ま、いいか」「オールOK」みたいな気にさせてしまう愛嬌がこの三男にはある。
そんな究極のポジティビティを支えているのは、非常に高い演奏技術だ。ギターのピート・タウンゼントはリズムカッティングとメロディプレイを同時にやってのける、いわゆるパワーコードを弾かせたら右に出る者はいない。「リードベース」と称されるジョン・エントウィッスルのベースは時にハイポジションでザクザクした旋律を奏で、時にローポジションでゴトゴトというような不気味な重低音を鳴らす。ドラムのキース・ムーンに至っては、驚異的の一語に尽きる。ドラムというよりもパーカッションであるかのように、ズダダダダッと高密度のリズムを猛烈なテンションで叩き倒す。ボーカルのロジャー・ダルトリーがけっこう陰気なことを歌っていても、バックのサウンドが最高にエネルギッシュなので決して湿っぽくはならない。
そんなザ・フーのライヴにおけるパフォーマンスは、まさに「史上最高の最低バンド」と呼ばれるに相応しいハジケっぷり。ピートはこれまでに一体何本のギターを破壊し、何台のアンプをダメにしたのだろうか。デビュー直後、あるテレビ番組で<マイ・ジェネレイション>を演奏したザ・フーは、曲のラストに暴れに暴れ、締めくくりにキース・ムーンが爆竹でドラムセットを吹っ飛ばした(下のリンクで観れます)。もはや意味がわからないのだけれど、そんなところも「よくわからんがOK!」と思わせてしまうのがこの4人組なのである。
ロック史的に言えば、モッズの祖、パンクの源流と言われるザ・フーだが、例えば前述の大暴れするパフォーマンスにしても、パンクロックのそれは社会や既存の音楽といった特定の対象に対する反逆の表現であったのに対し、ザ・フーの大暴れは文字通りの「大暴れ」であり、政治的なメッセージも何もない、溢れ出るエネルギーの暴発である。だが、刹那的でアホだからこそ彼らには憎めない愛嬌があり、ピュアだからこそ彼らには普遍的な輝きがあるのだ。
TVで<マイ・ジェネレイション>を演奏する4人。最後にはドラムセットが爆発!
演奏の迫力ではこちらが上。ラストには破壊シーンのダイジェストも
ロック史上最も愛嬌のある4人組、THE WHO!
2008年の後半、おそらく僕がもっとも聴いた曲はザ・フーの<マイ・ジェネレイション>だ。ロックのクラシック中のクラシックであり、永遠のキラーチューン。カバーしているアーティストは挙げたらキリがないだろう。オアシスのライヴDVDを観ていたら、ラストに自分たちの曲ではなく、<マイ・ジェネレイション>を演奏していた。この曲をタイトルに冠した『マイ・ジェネレイション』はザ・フーのファーストアルバムである。
ザ・フーはビートルズ、ローリング・ストーンズと並んで“イギリス3大バンド”に数えられる、ロック史を代表するバンドだ(ちなみにこれにキンクスを加えるとイギリス4大バンドになるらしい)。
ビートルズ、ストーンズ、ザ・フー。この3者の関係は、ちょうど兄弟のようである。長男(ビートルズ)は天才肌で女の子にもモテる人気者。そんな長男を尊敬しつつ密かにコンプレックスをもつのが、秀才肌の次男(ストーンズ)。そして三男(ザ・フー)は、ストイックにロックの可能性を追求する兄二人を横目に見ながら、「楽しけりゃいいじゃん」と自分の好きな音楽を演奏することだけに熱中している。
後期ビートルズのような求道者的な難解さ、60年代ストーンズのアウトローさといったものは、彼らにはまったくない。末っ子特有の底抜けの楽天性が、三男ザ・フーの魅力だ。その分何がしたいのかよくわからない失敗作も数多くあるのだが、それでも「ま、いいか」「オールOK」みたいな気にさせてしまう愛嬌がこの三男にはある。
そんな究極のポジティビティを支えているのは、非常に高い演奏技術だ。ギターのピート・タウンゼントはリズムカッティングとメロディプレイを同時にやってのける、いわゆるパワーコードを弾かせたら右に出る者はいない。「リードベース」と称されるジョン・エントウィッスルのベースは時にハイポジションでザクザクした旋律を奏で、時にローポジションでゴトゴトというような不気味な重低音を鳴らす。ドラムのキース・ムーンに至っては、驚異的の一語に尽きる。ドラムというよりもパーカッションであるかのように、ズダダダダッと高密度のリズムを猛烈なテンションで叩き倒す。ボーカルのロジャー・ダルトリーがけっこう陰気なことを歌っていても、バックのサウンドが最高にエネルギッシュなので決して湿っぽくはならない。
そんなザ・フーのライヴにおけるパフォーマンスは、まさに「史上最高の最低バンド」と呼ばれるに相応しいハジケっぷり。ピートはこれまでに一体何本のギターを破壊し、何台のアンプをダメにしたのだろうか。デビュー直後、あるテレビ番組で<マイ・ジェネレイション>を演奏したザ・フーは、曲のラストに暴れに暴れ、締めくくりにキース・ムーンが爆竹でドラムセットを吹っ飛ばした(下のリンクで観れます)。もはや意味がわからないのだけれど、そんなところも「よくわからんがOK!」と思わせてしまうのがこの4人組なのである。
ロック史的に言えば、モッズの祖、パンクの源流と言われるザ・フーだが、例えば前述の大暴れするパフォーマンスにしても、パンクロックのそれは社会や既存の音楽といった特定の対象に対する反逆の表現であったのに対し、ザ・フーの大暴れは文字通りの「大暴れ」であり、政治的なメッセージも何もない、溢れ出るエネルギーの暴発である。だが、刹那的でアホだからこそ彼らには憎めない愛嬌があり、ピュアだからこそ彼らには普遍的な輝きがあるのだ。
TVで<マイ・ジェネレイション>を演奏する4人。最後にはドラムセットが爆発!
演奏の迫力ではこちらが上。ラストには破壊シーンのダイジェストも