やる事なす事うまく行かずに、現実と自分の思いとのギャップに苦しんだ。
焦る思いは自分を苦しめる。とうとう疲れ果ててしまって、誰とも関わらなくなった。人を避けていると、人への苦手意識や不信感が募り始める。
生きてる実感もない、何も感じないと思ってたけど、本当は恐ろしく寂しかった。
そんな時、彼女に出逢った。現実が分からなくなってた僕でも、彼女は僕には勿体ない人だって分かった。彼女には僕が幼く見えたみたいで「子供だと思った」て言われた。
社会的立場もあって人気者な彼女は、みんなから引っぱりだこ。男も女も、みんなが憧れる女性。だけど、素顔の彼女は飾ることのない、人間味のある人。それが嬉しかった。
彼女みたいな人が、どうして僕なんかと一緒にいてくれるのかわからなかったけど「ゆうはいい奴だな」て言った。
気持ちいいくらい健気で、彼女みたいな存在感を放つ人、そういう人間がいることを、身を持って教えられた。彼女がいるだけで勇気が湧いた。
だけど、僕は焦るようになった。彼女に相応しい男になろうとした。少しずつ彼女に多くを求めるようになった。いい奴って言ってくれてた彼女を何度も傷つけた。彼女はありのままの僕を受け入れてくれてたのに。
「もう知らない!さよなら!」て去られた時は、胸が苦しくて息ができなかった。彼女がこの世から消えたのと同じ感覚。彼女は怒ったんじゃなくて悲しかったんだと、その時は分からなかった。
結局、最後の最後まで、彼女は僕を見捨てずにいてくれた。最後の最後まで、僕は彼女に別れなんて告げなかった。もう二度と「さよなら」なんて言いたくも聞きたくもない。
当時、彼女も20代半ばだったけど、僕は未だに彼女に追いついてない。女性としての前に、人として尊敬してる。
