マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー -34ページ目
酒屋の軒下に立っていたのは中学の同級生でワタクシがほのかに思いを寄せていたサキだった、傘がなく雨宿りをしていたのだ、ワタクシはサキの前で足を止めた、サキも上目遣いでこちらを見ていた、目と目が合い男同士ならオカマ以外は「ケンカ上等」となるが女性とでは訳が違う、サキと目が合ったその時にワタクシは小さな小さないい声が聞こえてくる気がした、「お願い、私に声をかけて!」そして、それが彼女のワタクシに都合のいい心の声と解るまでに大して時は必要としなかった、そして.....。


ワタクシ「かさ、傘に入るかい?」


サキ「.....ウウン、大丈夫」
シャイなワタクシだが精一杯に度胸を決めて声をかけたが大丈夫言われ引き下がってはもう二度とのチャンスはないと、今一度声をかけた、
ワタクシ「じゃ、じゃあ、傘置いていくから」
と彼女がどうするか様子を見る意味で傘を畳んで彼女に差し出した、サキは一瞬ためらったが傘を受け取り、直ぐに傘を開きワタクシの横にやってきて並び白い歯を見せニッコリと微笑み
サキ「一緒に帰ろう」


ワタクシ「う、うん、帰ろう」とワタクシ言いドキマギしながら歩き出した、この時がワタクシに取ってこれまで生きた中で一番幸せに感じた瞬間だったかもしれない、初めての異性とそれも好きだった娘と肩を並べて歩く、若いうちは将来も打算も金の事なども考えない、今、この瞬間の幸せこそが若いワタクシには全てだった、ワタクシの頭の中ではビートルズの「All NEED IS YOUR LOVE」が鳴り響いていた。


意外にも彼女はワタクシの家の100メートル先に住んでおり、何年もワタクシの家の前を彼女は通っていたのだが全く気づかなかった事になる、だがそんな事は関係ない「今からが二人のラブストーリーの始まりだ」とワタクシは彼女と大して話しもしていないのに勝手な妄想に浸って「グフフッ」とにやけていた、だが今回は今回として何とかして家の電話番号を聞き出して次回デートに誘わなければならない。


ワタクシ「サキちゃん、今恋人いる?」


サキ「ううん、今いないよ、どうして」


ワタクシ「いや、その、あの、よっ、よ、よ、よ、よ、よかったら電話番号教えてくれないかな!」
今もシャイで奥手のワタクシだが17歳の時は更にシャイ、おまけに口下手の童貞野郎だった、この時を逃せば一生恋人が出来ないと次につなぐ為に勇気を振り絞って電話番号を聞いた、そして彼女は「いいよ」と意外にもアッサリと電話番号をワタクシに渡してくれた、その夜に嬉しくて部屋の中を高速スキップで300周するワタクシの姿があった。


それからワタクシとサキは学校からの帰り駅で待ち合わせし毎日のように会うようになった、休みの時には山下公園でデートをし本当にスキップして顔を見合いながら笑い合ったものだった、横浜の西口で映画を見たり、会って顔を見るたびにお互いの心が近くなるのを感じた、そして夏休み母親がいない隙を狙い彼女が家に遊びに来た時にキッスから始まりその後エスカレートして何度目かの時についに二人は結ばれてしまう、やはり女性の方が早熟で知識が豊富、そして積極的だった、彼女のリードでワタクシは精一杯果てた。


彼女の全てを愛した、彼女の側に一生一緒にいたい、彼女の笑顔をいつも見ていたい、将来は結婚したい、二人は燃え上がっていた、だが若い二人の愛を引き裂く出来事が起こった、サキの父親が転勤になってしまったのだ、場所は北海道、若いだけで全くの未熟者のワタクシにはなすすべがなかった、彼女の為に学校を辞めて働こうと思ったが彼女は時が過ぎれば再び横浜に戻ってくるから様子をみようと言った、結局、サキの言う事に従い遠距離恋愛となったが次第に連絡が少なくなっていき一年もすると完全に途絶えてしまった。


今のように携帯電話がありスカイプがあったりの時代ではない、家の電話や手紙の時代、会いたくても会えない事、お互いに小さな行き違いが燃え上がった愛を少しずつ消し去ったのかもしれないが結局ワタクシが我が儘ばかり言い彼女の事を理解する事をしなかったのが原因だろう、若さ故に燃え上がり若さ故にアッサリと消えてしまったワタクシの初恋は終わった、当時、流行っていた‘涙ふく木綿のハンカチーフ,を意味もなく北海道にいるサキに送りそれが最後となった、浅間山荘事件など連合赤軍が世の中を騒がしていた。


サキの事しか思い出のない高校時代は過ぎて母親の強い勧めで大学に行く事になったが将来特にやりたい事もなく勉強嫌いなワタクシが生半可に勉強してお馬鹿大学でも受かるはずがない、全て落ちて語学の専門学校に行きたかったが母親が大学にこだわり一浪し予備校に通い始めた、頭が悪い上に勉強を頑張るつもりゼロのワタクシはテストの結果、当然お馬鹿の集まりのCクラス入りした、だが、初めての日、授業が始まるのを待っていると隣の席に小柄ながらショートカットの可愛い顔の娘がやってきてワタクシの隣に座った。



次回に続きます、いつもご訪問頂きまして心より御礼申し上げます。