456.トキメキの1970年代.レイスリー.ZERO.16 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシ「コ、コート、コートじゃないか、何してるの~」


コート「何言うてまんのや、大変でっせ!」
学食に現れたのは雀荘で知り合った一学年下の後輩のコートだった。



ワタクシ「何だよ、天下の一大事みたいな顔して」


コート「それがレイスリーはん、ワシ悔しうて、悔しうて、敵取っておくんなはれ!」
ど近眼のコートは牛乳瓶の底のような眼鏡をかけており、関西弁でまくし立てるので嫌でも目立ってしまう存在だった、ある日ブラリ店にやって来た男にコートや仲間たちを初め先輩で麻雀ゴロの芝さんやオバチャンまでがコテンパンにカモられてしまったらしい、
ワタクシ「そうなの、それで?」


コート「それでって、元気おまへんな、どないしなはったんでしか、レイスリーはん?」


ワタクシ「病気なんだよ、それも重症かもしれないな、ハア~~~~~ッ」


コート「重症?何の病気なんですか?」


ワタクシ「恋だよ、恋、分かるかな、チミ~」

コート「こい?魚のコイですか?」


ワタクシ「ドアホー!!おどりゃあアホちゃうか、ラブだよ、ラ.ブ!!」

コート「あれ、前の可愛い彼女さんは?」


ワタクシ「別れたよ~」

コート「別れて直ぐに違う女でっかー、レイスリーはんは女よりギャンブルの人やと思たんやけどな~」


ワタクシ「何言ってるの、女性こそが男に取っては最大の活力源だろ、女性がいなければ男として生きてても仕方ないんだろ、お前違うの?」


コート「そりゃ、そうやけど、それよりも大事なのが男同士の友情とか義理や人情とかあるんと違いまっか!」


ワタクシ「もちろん、それも大事だけど、今回の事にそれは関係ないだろう」


コート「もう、ええわ!、そんな冷たい事言うてからに、可愛い後輩が悔しい思いしてるのに敵も取ってくれへん先輩なんか、いらんわ!」
コートはそう言うと立って早や歩きで学食を出て行ってしまった、短気で口の悪い奴だったがワタクシは結構気に入っていた後輩だ、その話を聞いていたワタクシの友人の一人で工藤という男が「俺が行ってみようか」と雀荘に向かう事になった、工藤はワタクシ以上に学校をバックレる男で他の友人からは嫌われていだがワタクシとは何故か気が合い男気もあり麻雀に関してはなかなかの腕を持っていた、アダ名は着ている服装がいつも半袖、半ズボンというとこから‘プロゴルファー猿,とワタクシがアダ名をつけていた。


工藤も何故かこのアダ名を気に入っていて「キキキーッ」と叫びながら雀荘に向かった、残されたワタクシや他の仲間は授業に行こうとする、だがコートが言った「そんな冷たい事言うてからに、可愛い後輩が悔しい思いしてるのに敵も取ってくれへん先輩なんか、いらんわ!」と言う言葉が妙に引っ掛かっていた、ワタクシは末っ子で弟がいない、知り合った場所は雀荘だがコートとその仲間たちがワタクシの事を先輩と思っていてくれた事と頼られる事が嬉しく感じた、だが、この授業に出席しなければ単位が取れず教職の道も閉ざされるかもしれない、たった1日の欠席だが授業を受け持つ教授の気持ち次第、現に過去2年間は同じ教授で単位が取れなかった。


コートの気持ちを考えると行ってやりたい、しかし、
ワタクシ「よーし!!」

ベンキー「レイスリー、コートたちの敵討ちに行くの雀荘に!」


ワタクシ「えっ、行かないよ、だって今行ったってその男いるかどうか分からないだろう、授業が終わってから顔を出すよ」


ベンキー「そういえば、そうだよね、ハハハ」
コートたちの事はもちろん気になるが女子高の教諭になりエロエロする夢を簡単に捨てる訳にはいかない二重人格のワタクシだった、アッラ~。


苦痛な授業も終わり、枯れ葉散る歩道を行くワタクシと仲間たち、秋はやはり人を寂しくする、「枯れ葉よ~」とイブ.モンタンの「枯葉」をつい口ずさんでしまう、そして名さえ知らぬ天使のような彼女の事を思うと胸が再び痛くなってきた、「イテテテ」そして「ハ~~~~~~~~ッ」っと長いため息が出る、知らぬ間に雀荘も通り過ぎてしまう
ベンキー「あれ、レイスリー雀荘寄らなくてもいいの?」


レイスリー「あっ、そうか雀荘ね~、スッカリ忘れてたよ」
雀荘の扉を開けると卓を囲む4人が一斉にこちらを見る、オバチャン、芝さん、工藤、そして見知らぬ男、綺麗なワイシャツにキッチリと絞めたネクタイに髪型、顔はサッパリとしたスポーツ系のイケメン、どう見ても普通のサラリーマンだった
コート「レイスリーはん!来てくれはったんですか~」
4人の後ろで見ていたコートとその仲間たち
ワタクシ「うん、まあな」
ワタクシも工藤の後ろに座って見ることに
オバチャン「レイスリーちゃん、この人青山君て言うのよ、あなたの5年先輩で全国学生麻雀大会で準優勝してるのよ」


ワタクシ「全国学生麻雀大会、そ、そんなの有るんだ」


青山「うん、今は有るかどうか判らないけど当時は麻雀の全盛期だったからねえ」


ワタクシ「へえ~、そこで準優勝って、相当強いんですねえ?」


青山「アハハ、もう何年も前のことだよ、今は全然駄目だよ」


工藤「いや、そんな事ないっすよ、十分強いですよ」
ワタクシはコートに
「単なる先輩じゃないの、お前らが弱いから負けただけろが、アホ!」


コート「へへへ、そういう事ですかね~」
切りのいいところでオバチャンと代わり卓に座ったワタクシは挑発的に「先輩、見せて下さいよ、準優勝の腕前を」と言い放った。



次回に続きます、いつもご訪問頂きまして心より御礼申し上げます。