243.真夏の街.44 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
受付の職員「フーン、イライジャさん元気そうだけどねー」


ワタクシ「いや、体じゃ無くて、頭に脳腫瘍が出来てるんですよ」


受付の職員「頭が悪いのかー」


イライジャ「ナニ イッテル ワタシ アタマ ワルクナイヨ~!!」


ワタクシ「イライジャ、そうじゃ無いんだよ、そうじゃ無いんだってば、って日本語喋れるのイライジャ~」


受付の職員「じゃあ、その病院教えてくれる、問い合わせてみるから」


ワタクシ「ま、まあ、そう言わずに日本とバングラデシュの友好と平和の為に、お願いしますよ」
そして、ペコペコ頭を下げるワタクシです、どうせ受付の職員には嘘がバレバレなのです、そこにアリが
「シャチョウ モウイイヨ ワタシト シャチョウデ イコウ」
アリもこりゃ駄目だ、と諦めたのでしょう、差し入れの用紙を書き現金らしいものが入った封筒と旅行カバン、段ボール箱、中で食べるようにカレーヌードルを1ケースを担当官に預けます、20分後に面会に入るワタクシとアリ、だいたいワタクシは捕まった男と面識が無いのですが、アリが紹介しておきたいと言うので一緒に面会したのです。

面会室に入って来た男とベンガル語で何やら喋りまくる二人、最後に捕まった男はワタクシに「アリガトウ、ワスレナイヨ、アナタノコトワ」と言い頭を下げて中に入って行きました、何だかわかりませんが感謝してくれているようでした、ワタクシとアリは面会室を出て待っていた二人と帰路につきました、錦糸町の駅につき別れ際にイライジャが
「キョウワ アリガトウ、コレデ ゴハンタベテ」と千円を取り出しました、すると二人のアリも千円づつ取り出しワタクシに渡そうとします、「いらないよ」と断りますが、アリがワタクシの胸のポケットに押し込みます、ワタクシは「どうせなら、1人三千円くらいよこせよ」と言う気持ちを抑え「まあ、しょうがない、同じ貧乏人だからな」と思い直し有り難く頂戴したのでした。


そして、その2日後に吉報が横田さんから届きました、土方さんの融資が通ったのでした、金額は2500万円の満額ではないものの2100万円、次の日実行となるので土方さんと銀行に出向きました、満額でなかった為に銀行に返済は300万、定期預金は200万円を約束通り作りました、そしてワタクシと横田さんの報酬はワタクシが180万円、横田さんが50万円、そして横田さんが保証人になった200万円の返済も済み、土方さんに残った金額は1170万円となりました。


この金額の中から土方さんは事務所の家賃2ヶ月分170万円と自分のマンション代2ヶ月分52万円、計222万円を払うので950円ほど残る事に、土方さんにワタクシに一緒に会社をやっていかないかと誘われました、確かにこの会社の3万人の会員と土方さんの発想力は魅力的です。


そこでワタクシは条件を出しました、まずこの事務所と土方さんのマンションを引き払う事、この2件で月100万円以上が飛んでしまいます、それよりも出費を抑える為に虎ノ門に3LDKの20万円程のマンションを借り土方さんの住居兼事務所にと言ったのですが、土方さんは聞き入れませんでした、ワタクシは土方さんが出した条件を承知してくれたなら、もらった金額180万円の内100万円を返金してもいいと考えていたのですが、その必要はありませんでした、ワタクシの時と違いほとんど潰れた会社にせっかくお金が入りチャンスが再び出てきたのに土方さんはそのチャンスを放棄しようとしているとワタクシは思いながら虎ノ門を去りました。


そして半年後に土方さんの会社は潰れた事を横田さんから聞きました、ワタクシの時と同じように土方さんも自分の事が見えなかったのかもしれません、人は自分が見えない、だからこそいいパートナーや友人、職場の仲間たちの助言が必要だとワタクシは改めて考えさせられたのでした。



次回に続きます、いつもご訪問いただき心から御礼申し上げます。