240.真夏の街.41 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
マンションのドアを開けたのは日本人の男でした、周りを見渡し「入って」と言われるままに中に入るとタイの女性が6.7人ジュウタンの上に思い思いの格好をして座っていました。



なかなか可愛い娘が揃っていました、ワタクシの方を見てニッコリ笑う娘もいました、男は電話の前に座りワタクシに声をかけてきました、
男「外でお客さんをここに電話をくれればいいだけの仕事なんだけど、出来るかなー」
俗に言うポンビキです、タイ女性たちは皆売春要員なのでした、男は1人客をつかまえると5千円出すと言いました、この頃のワタクシはプライドはドブに捨てていました、食べる為には何でもやってるという気持ちでしたが果たして自分にポンビキが出来るかというと、クエスチョンでした、男は電話を入れ1人の男を呼び寄せました、この男もポンビキでした、この男について1日やってみてはどうだという事で取り敢えずやってみる事になったのです。


この日は雨が降っており、人通りはまばらでした、ポンビキの先輩は歩いている人に声をかけますがなかなか客はつかまりません、一時間後にはワタクシも見よう見まねで歩いている人に声をかけますが、いいところまでいってスルリと逃げられます、雨のせいなのか景気が悪いのか、6時間ほどやって結局はゼロでした、1日限りのポンビキ体験でしたが、どんな仕事も甘くない、そしてバカにできないと言うことをワタクシは実感して自分はまだまだの人間だと、うちひしがれました。


ポンビキもまともに出来なかったワタクシはまだまだ捨てたつもりのつまらないプライドが残っていた事に気付きました、家も財産も何もかも無くしたのに残ったのは一円にもならないくだらないプライド、恥も外聞もなく生きて行く為には何でもやるつもりだったのに、全く駄目な男という事に気づかされました。


数日後に1人の男から電話が、浅草の今戸で同居していた桐田のオヤジです、アパートの下にいるらしいのです、このオヤジがワタクシに電話がある時は金の工面です、以前も江川さんと組んでいるときに100万円を3度ほど貸して礼金5万円を付けて返してもらい全て江川さんに渡しています、しかし今はスカンピンの状態です、どうしようもありません、アパートの階段を降りて行くと湿気た顔の桐田のオヤジとノエルという若いフィリピンが車に乗っていました、
ワタクシ「おっ、ノエル久しぶりだな元気でやってたか?」


ノエル「ハーイ、クヤー、ゲンキダヨー!」
このノエルは5年前に桐田のオヤジの会社に入ったのですが、勿論オーバーステイ、しかし桐田のオヤジの仕込みがよかったのか内装の職人として一人前となっていました、兄貴もいますが、こちらは大工として腕をふるい二人共に遊びをしない仕事一筋の真面目な男なのでした、フィリピンにいる家族たちはこの兄弟のお蔭でいい暮らしが出来ているのです。


ワタクシ「で、要件はなんだよ、金か?ないよ、そんな物」


桐田のオヤジ「なんだよー、冷たい事言うなよー、どうにかならんかな~」
この時、桐田のオヤジの会社はかなり苦しい状況でした、銀行から金を引っ張りたくても以前に持っていた会社の時に保証協会を1000万円ほど引っ掛けており、借り入れは不可能な状態でした。


ワタクシ「だいたい幾らいるんだよ」


桐田のオヤジ「そうだなー、100万円位出来んかね~、頼むよ」


ワタクシ「100万円位って簡単に言ってくれるねー、まっ、方法がないわけではないけどね、必ず返せるのか?」


桐田のオヤジ「いやー、勿論だよ、返しますよ、きちっとね」
このオヤジの返すは当てには出来ません、5回に1回は引っ掛かる可能性が高いのですが返す気持ちがあるならとワタクシはお金を作る方法を教えることにしたのでした、その方法とは.........



次回に続きます、いつもご訪問頂きまして誠にありがとうございます、心より御礼申し上げます。