166.ハルの微笑み.110 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
久しぶりにワタクシの事務所に梅津君が来ていました、新しい会社に就職し今までお世話になったのでご馳走したいと言うのです。



梅津君、ワタクシがマリコさんと別れたからではないのでしょうが、エリとの同棲は解消したらしいのです、男と女の事、梅津君が語りたくないなら敢えて聞かないワタクシです、
梅津君「レイスリーさん、そうなんですか、ハルちゃんはアメリカに行ったんですか」


ワタクシ「うむ、何も言ってやれなかったよ」


梅津君「でも夕子ちゃんて、そんなに焼きもち焼きなんですか?」


ワタクシ「そうだにー、この着信履歴見てみる~」


梅津君「こ、これは50件全部が夕子じゃないですかー」


ワタクシ「だろー、しかもその50件、全部1時間以内になってるだろ」


梅津君「ありゃ~、これじゃあ1日会わないと何回電話あるんですかー」


ワタクシ「さあー、1000回はないと思うけどねぇ~」


梅津君「そ、そういえばしばらく見ないうちに痩せたんじゃないですかー」


ワタクシ「そ、そうかもしれないに~」


梅津君「何か起こらないうちに別れた方がいいんじゃないですかー」


ワタクシ「そうだなー、チミが別れた方がいいと言ってたと夕子に言っとくか、でもそうなると君の命の保証は出来ないかもね~、マジな話し」


梅津君「ちょ、ちょ、ちょ、ちょーっと止めて下さいよ~、まあまあ今日は好きなものご馳走しますから」


ワタクシ「そうか本当かー、六本木時代に貴子と良くしゃぶしゃぶ食べに行ったなー、一人5万位だったかなー」


梅津君「いやいやいや、六本木は置いといてですねー、何か庶民的な食べ物屋がいいんじゃないですかねー」


ワタクシ「そうだな、じゃあカツカレーと豚汁をご馳走してくれる」


梅津君「えっ、そんなんでいいんですかー」


ワタクシ「あー、チミだって就職したばっかりだろ、そのうちドーンとご馳走になるよ、その代わり食べ終わったら夕子の店に付き合えよ」
ワタクシは手形で引っ掛かって以降、銀行の返済が増え資金繰りに苦しくなっていました、ある程度たったら銀行がまた貸してくれると言った言葉を信じ必死に仕事に取り組んでいたのです、マリコさんと別れ上野広小路にも行かず、たまに夕子のいる店に顔を出すだけになっていました。


ワタクシと梅津君が夕子のいる店に行くとよしえママがドンとカウンターに座っていました、まだ店を開いていないよしえママ、夕子がいる店はよしえママと友人の同じ台湾の幸子ママが経営しており時々、秘蔵っ子の夕子の様子を見に来ていたのです、
よしえママ「あらっ、レイちゃん、梅ちゃん来たのー」


梅津君「ママー、お久しぶりです」


よしえママ「梅ちゃん、エミどうしてるのー」
エミ、梅津君にとっては初めてのタイ人の恋人で彼も何度かタイに会いに行っていたのですが、いつの間にかたち切れていました、ワタクシも敢えてそのいきさつは聞きませんでした、
梅津君「ママ、やっぱり遠くにいると好きという心を続けるのって難しいよね」
いつもオチャラケている梅津君が珍しく神妙な顔をしてママと話していました、梅津君はワタクシと10歳違いです、この時30歳になりまだまだ先の見えない自分探しの途中での遠距離恋愛、簡単ではないことはワタクシ自身もハルと経験していただけに彼を責める事はもちろん出来ません、女は本当に愛さて相手を待ち続ける、しかし男は新たな近い存在を求めてしまう、そして女性を信じられない、男がいるのではなどと確信のない理由を探して切ってしまう事が多いのではないのでしょうか、そしてそれは若ければ若いほど続かない、それほど遠距離恋愛は根気と辛抱のいるものだと思うのです。


ワタクシと梅津君は奥の席に座るとよしえママはワタクシたちの席に移って来ました、何かを言いたそうなママがゆっくりと口を開くのでした。



次回に続きます、いつもご来訪頂きまして誠に有り難う御座います。