113.ハルの微笑み.57 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
担当官の話しだと大阪入国管理局に雪子がいるというのです。



ワタクシは何故の気持ちが強かったのです、あの少人数の汚い店などに入官が目をつけるなどワタクシには考えられなかったのでした、果たせるかな大阪入国管理局の担当官の話では雪子を捕まえたのは入官ではなかったのでした、雪子は賭博場で警察に捕まったというのです。


ワタクシは唖然とした気持ちで担当官の話を聞いていました、実は雪子が日本に来た訳、それはレンパイ(トランプ賭博ゲーム)というタイでは良くやるギャンブルにはまり多額の借金を背負い返済するために来たのだという事をワタクシはサチから聞いた事があったのでした。


ギャンブルそれはやらない人には理解し難いものかもしれませんが、人生を大いに狂わす可能性があるものなのです、パチンコ、スロット、競馬、麻雀或いはトランプ賭博その他にも色々あるでしょう、一度踏み入れたらなかなか抜け出せない物それがギャンブルの恐ろしいところなのです、自制心を持って限度を決めて遊ぶ程度ならギャンブルも癒しの効果があるかもしれません、しかし多くの人々が限度を越えてハマリ抜け出せなくなり、ある人は家庭崩壊したり、ある人は職や友人又は恋人を失うのです、この先の話しでワタクシもギャンブル依存性を経験する事になるのですがタイ人のギャンブルは更に危険なのです。


「微笑みの国」と言われるタイ、その国の人達は実に優しく誠実な仏教人なのですが反面、心が熱くなりやすく熱くなると行くところまで行ってしまう傾向があるのです、これは異性に対してもそうですしギャンブルに対しても同じなのです。


雪子の場合も熱くなりやすい性格なのはわかっていましたが、まさか警察に賭博場で捕まってしまうとはワタクシも予想外だったのでした、警察から大阪入国管理局に送られたのは好意的な処置だとも言われました、場合によっては裁判にかけられる可能性もあったという事も担当官は話していました、そしてワタクシは翌日大阪入国管理局に向かったのでした。


大阪入国管理局は全く普通のビルなのでした、この中に留置場があるなど全く感じさせない建物でハルの時に慣れていたワタクシは10万円とカップラーメンを差し入れて面会を待ちました、
雪子「オニイチャン」


ワタクシ「お兄ちゃんじゃないよ!何やってる」

雪子「ゴ、ゴメンナサイ」


ワタクシ「何でトランプ何かやってたの!」


雪子「チガウ、ワタシジャ ナイーッ、トモダチ ガ ヤル ダカラ イッショ イッタダケ」
ワタクシは雪子を怒鳴りつけました、雪子はたまたま友達に付き合って行っただけだと言いたかったのでしょう、しかしリスクの高い賭博場に足を踏み入れた事にワタクシは腹をたてたのです。


雪子「オニイチャン ホントニ ゴメンナサイ」とワタクシに何度も何度も謝るのでした、ワタクシの怒りが一応収まったと思ったのか雪子は
「オニイチャン、ユキコ タイ デ マッテルナ、オニイチャン クルナ タイニ」
ワタクシはタイに来いという問いにすぐは答えませんでした、少なくともこの時はそんな事を考える気になれなかったのです。


帰りの新幹線の中でワタクシはこれから先の事を考えるのですが考えはまとまりません、タイに行く行かないではなくタイに帰ってしまう雪子をどうするか、いくら考えても答えは出てきません、そしてワタクシはここから長い長い迷い道に入り込んでしまったのでした。



次回に続きます、毎度ご訪問頂き誠に誠にありがとうございます。