66.ハルの微笑み.11 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
その日ワタクシはみつえママとハルの3人でテーブルを囲んでいました。


みつえママ「レイスリーさん、わたし考えたんだけどもね、ハルをアルバイトにしようと思ってるのよ」アルバイトは店にいて酒を運んだりチェックをしたり、客の話の相手をしたりし、売春はせずに店からの完全給料制なのでした。


ワタクシ「えっ、アルバイトにしてくれるの」


みつえママ「わたしはハルにも話したよ、給料35万円あげるからアルバイトにならないかって、でもハルが稼げないからって嫌がってるのよ」


ワタクシはハルの方を見て「ハル、いい話なのに嫌なのアルバイトになるの?」


ハル「オカネ スクナイ カラ」


ワタクシ「少ないからって月35万円って大金だよ」


ハル「チガウ イエ ガ ホシイカラ.....」


ハルは家を建てる資金としては35万円は少ないと言いたかったのでした、そしていつ自分は入官に捕まり強制送還されるかわからないという思いがあったのでしょう、今は一円でも急いで稼ぎたかったのです。


みつえママ「まあ、二人で話してみて、それから別の話だけど店の場所、変えるかもしれないのよ」

入国監理局の捜査を恐れていたみつえママは場所を変えようとしていたのです。


入国監理局がどのように捜査する店を特定するか、そのほとんどが密告です、店の女の子やママに恨みや妬みを持つ人逹が必ずいるのです、密告を受け入国監理局は内偵し女の子逹がいる時間を割り出し確定した段階で店に踏み込むのです。


みつえママは地区の警察に情報料を払っていたのですが情報漏れを悟った入国監理局は捜査の時を地区の警察に知らさなくなっていたのでした。


みつえママ「警察は駄目よ、お金ばかり取って役にたたない」
そう言って席を立つました。


ワタクシ「ハル、アルバイトになれよ、毎月10万円位なら助けてやれるから、なっ」
この時のハルはいつもの男勝りなハルではありませんでした、彼女は自分の力でこれまで生きてきて誰の助けも借りなかったのです、恋人になったワタクシの援助さえ受けるのを潔しとしない、そんな風にワタクシは見てとれました。


暫く考え込んだハルは決心したように
「ワカッタヨ、アリガトウ」と低い声で言って微笑むのでした、そして機嫌良さそうに「天城越え」を唄います、決める事を決めてしまえば振り返らない真っ直ぐな性格、そんなハルがワタクシは............好きでした。



次回に続きます。いつもご訪問誠に誠に有難うございます。