64.ハルの微笑み.9 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシの錦糸町通いどうにも止まらなくなってきていました、ハルに合ったあの日から2、3度と週1ペースで通っていたのです。


しかし週に1回と言っても飲み代1万、泊まりで3万5千、ホテル代8千、合計5万3千円が1日で消えてしまうのは会社を辞め独立の準備していたワタクシには金銭的に負担になりつつあったのです、しかしハルに引かれ始めていた、そしてこれまで触れた事のない世界にもっと触れて見たいという冒険心がワタクシの中に産まれつつあったのです。


ハルとは会うたびに色々の話を聞きました、中でも興味を持ったのがタイからやってくるのにどうして250万円の大金を払わなければならないかという点です。


当時のワタクシのような何も知らない日本人からすると普通に日本大使館に申請すればいいのではないか、という考えしかないのですが、しかし大使館にはタイ人逹が1日1000人もの人が申請に訪れるそうで富裕層という証明出来る物を揃える或いは身元保証人がない限りほとんど却下されてしまうのです、ハルのように貧しく身元もはっきりしない女性逹がダイレクトに日本に来るのは100%に近い位難しいのです。


タイの組織が考えた方法はアメリカ、カナダの観光ビィザを取得し香港、シンガポールを経由して日本に立ち寄るという方法でした。


タイのアメリカ、カナダの大使館にも大量の観光ビィザを申請する人が並び申請が取れた人から組織が買い取り申請者に似た顔の日本に行きたい女性にあてがうのです、また全く違う場合はパスポートの写真を巧妙に入れ替えてしまうのです。


更には偽物パスポートであったり偽物ビィザであったりとタイの人身売買組織は巧妙に次々とタイ人女性を日本に送り込んでいたのでした。


当時、日本にやって来たタイの女性逹は数万人とも言われそのほとんどが売春行為に従事していたのです、しかしある事件が発生したのです。


ある地方でタイの女性逹が大量に監禁されてスナックで売春を強要されていてそこに入国監理局が踏み込んだというニュースでした、ワタクシもテレビのニュースや週刊誌で見ました、その後タイ政府から日本政府にタイ人の保護の依頼があり入国監理局が本格的に動き出し始めていたのでした。


そしてタイ人逹の密集地である新宿、新大久保、錦糸町に本格的に入国監理局が取り締まりを強化する事となっていくのでした。


そんな状況下でワタクシは梅津君と今日もハルの店に行きます、しかし店に入ると台湾人のチィママのサクラが1人でポツリいるだけなのです。


ワタクシ「サクラどうしたの、何かあったの!」

サクラ「レイスリーさん、来たよ入官」
ワタクシは実はこのサクラが余り好きではないのです、何時も自分本意なのです、タイの女の子逹からはオネエサンと呼ばれていましたが彼女逹からは嫌いでなくても好かれる存在ではなかったのです。
ワタクシ「えっ、入官ここに来たの!それで皆は連れていかれたの?」


サクラ「違う、違う、錦糸町に来たの、スナックのタイ人とフィリピンパブで20人位連れていかれただって、うちの女の子は危ないから皆帰したのよ」


ワタクシ「な、何だそうか、ビックリしたよ」


サクラ「でも一時間前に入官帰ったから女の子ももう来るよ、座ってて」
ホッとしたワタクシと梅津君はシートに座ります、そこに女の子逹が2人、3人と次々に入って来ましたエミそしてハルも入って来てワタクシ逹がいるとわかるとゲラゲラと笑っているのです。


一難去ったばかりなのに大声で笑い合うタイ人逹、ワタクシにはなかなか理解し難い人種だったのです。



次回に続きます。いつも応援して頂き誠に誠にありがとうございます。