⑥ニンゲン万事塞翁が馬 | + レイ的ブログ +

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ポンコツおじさんの独り言。
更新はスローで不定期。

九月半ばにようやく二度目のワクチン接種を終え、
少しのあいだ心と身体を休めてから再始動を目指す。

これまでの期間で調べられることは調べ尽くした。
その中から最低限でいいから条件を満たしてくれる病院と医師をひとつだけ探し出していた。

条件とは色々こまかいこともあるが、大きなものは日帰りか一日入院で手術が可能という一点だけだ。

我がままで入院が嫌だとかいう単純なことではない。
度々ブログでも言っているがオレにはたぶん精神的な持病があり、それによって外出もままならない状態だ。おそらくはパニック障害。もしくは躁鬱病。まあ病名なんてどうでもいい。堰を切ったときにどんなふうになるかはオレにしかわからないし、オレにもわからないのだ。

たぶんとかおそらくというのは病院にかかっていないからだ。ずいぶん前にいくつかの心療内科や精神科の病院をまわったがムダだった。だが知りたいと思っていたことは知れたのでもう用はない。わかったのは一度発症すると完治しないこと。頓服などで発作的な症状を抑えられる薬もないこと。それがわかればちょっと症状を緩和させる程度のもので通院しろなどバカげていた。ちなみにオレの病は静養などで回復するものではなく、花粉症や食物アレルギーのように徐々に蓄積していく。それがわかっていて通院させようとする医者には呆れる。そういう経緯もあって病院関係が嫌いなのだ。もっと言えば根深いものもあるのだが。

とにかく、ワクチン接種の副反応も軽く済んだようなので目星をつけていた病院へ行くことだ。それがオレにとってどれほど過酷であるかは省略。


その病院の先生はほとんどの手術を日帰りで行っていて入院希望者には別の、入院設備が整っている病院でもやってくれる。区からも名医に推薦されており技術もお墨付きだ。

これでようやく。
オレの手術は術後からが本番のようなものなので、一年近くかかってやっとの思いでスタート地点に立てる、はずだった。

先生の印象はとても良かった。
親切で明快でこちらの話もよく聞いてくれた。まずは病気のこと、持病のせいで入院が困難なこと、さらには通院もたいへんなこと。などなど。
先生はうんうんと頷き『そりゃたいへんだ』とまっすぐにオレを見た。思いがけず込み上げるものを感じてオレはうつむいた。

先生がぽつりと言った。
『でもね、ここじゃできないんだよ』
「え?」
『入院設備のある病院での勤務はもう引退していて、術後の責任が持てないんだ』
「でも日帰りで手術ができるって」
『発熱や出血とかね、入院してないと対処できないものもあるから。大きいところでやってもらうほうがいい。紹介状書くから』

視界が暗くなっていき、先生の声も聞こえなくなっていった。

帰宅するまでの記憶は曖昧で、呆然自失とはこのことかと思った。

手荷物の中から処方された薬や真新しい診察カードなどを取り出し、のろのろと整理する。紹介状。知っている病院名がそこにはあった。最初に行った病院だった。