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食事療法としてのローフードを学んで

米国名門ローフード学校2校を卒業。調理法だけでなく、自然療法医による病気と関係する栄養学も学んできました。ローフードの食事法は、もともとがんを改善させるために考案された食事療法です。糖尿病、高血圧、認知症、アレルギーにも高い効果が認めらています。

「ローフード」の食事法は、ナチュラル・ハイジーンから多少影響を受けているのは間違いありませんが、現代ローフード文化の基盤となっているものは、まさにリビングフード(ローフード)の母といわれるアン・ウィグモアが考案した食事療法といえます。

日本人にはあまり馴染みのない彼女とその食事療法の歴史を振り返り、ローフード文化の世界基準と素晴らしさを理解していただけたら幸いです。




ナチュラル・ハイジーンの歴史はこちら

http://ameblo.jp/rawvege/entry-12108646166.html




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【リビング・フード(ローフード)の母アン・ウィグモア】



190934日、バルト三国の一つリトアニア生まれ。未熟児で生まれ、まだ赤ん坊だったため、両親は新しい生活をスタートさせるためのアメリカ渡航のときに一緒に連れて行かず、リトアニアで幼少を過ごす。
村医だった祖母に助けられ健康を取り戻したアンは、彼女からハーブを使った治療法を学び、将来アメリカで自然療法のヒーラーとして活躍すると予言されます。



1925年、16歳のときに祖母のすすめで渡米。結婚して娘を一人授かるもすぐに離婚します。

40歳のときにひどく体調を壊し「大腸ガン」と診断されたアンは、アメリカの食生活がそのとき患っていた大腸ガン、関節炎、ヘルニア、偏頭痛、毒血症、欝症状の原因であると確信。さらに、交通事故に会い、両足が壊疽をおこし、医師に両足とも切断するように迫られます。


彼女は村医だった祖母が、第一次世界大戦で傷ついた兵士をハーブや野草を使い改善させていたことを思い出し、医師と父親の忠告を振り切り、自宅に戻り自分で薬草を使った治療を開始。以前食べていた野菜、穀物中心の食事に変え、野草を摘み、足の患部に当て続けました。緑の食べ物が無性に欲しくなり、野草をよく噛んでいたそうです。冬が近づき野草がなくなり始めると、アンは神に祈り、そして、台所で草を育てることを思いつきます。



休息、日光浴、野草、ハーブ、台所で育てた若草は、急速にアンを回復させ、数ヵ月後に病院に再検査に行ったときには、粉々になっていた骨は元通りに固まっており、治す必要がないほど改善。数年後にはボストン・マラソンにも出場できるほど回復します。


室内で育てた若草を飼っていた動物たちにもテストし、「動物たちが好んで良く噛むこと」、その甘さや、価格、手軽さなどの理由から、「小麦若葉」がアンのもっとも大好きな草になりました。

National Academy of scienceは小麦若葉・大麦若葉を地上でもっとも栄養価の高い食べ物としています。

それから彼女はガンにかかった猿を引き取り、発芽させたタネ、発酵させたナッツ、タネで作ったヨーグルト、リジュベラック(発芽させた小麦を使って発酵させた水)、小麦若葉ジュースを使って猿を回復させています。



ガレージセールで売っていた肉のミンチを作る機材を目にし、彼女は少しの改良を加え、その道具で小麦若葉からジュースを絞り出すことを思いつきます。当時のジューサーでは、小麦若葉のような繊維質の強いものをジュースにすることは不可能だったため、草からジュースを絞り出すことは画期的なことでした。



そういった工夫を加えながら、彼女の大腸がんは完治まで約3年かかったと言われています。



キッチンでウィートグラスを育て、ジュースを絞り出すことができるようになり、自宅で簡単にできるリビングフード・プログラムの基礎が出来上がっていきました。

近所の寝たきりの人にジュースを配りはじめ、食事療法の講座をするようになり、1956年にヘルス・センター「The Red School House」をボストン郊外の町Stonehamに創設。ギリシャの医聖ヒポクラテスの格言「The body heals itself. The physician is only nature’s assistant」をモットーとしました。



知名度が上がるにつれ、さまざまな著名人からの援助も受けています。その1人は、ハーバード大学医学部卒業のポール・ダドリー・ホワイト教授(Dr. Paul Dudley White)です。アイゼンハワー大統領の顧問医師であり、アメリカ心臓病学会(The American Heart Association)の創設者として知られ、現代医療で治らなかった患者を、秘密にアンのもとに送ったと現HHI責任者ブライアン・クレメント医師は述べています。



有名モデルTwiggyがアンのデトックス・プログラムに参加したという新聞記事(The Boston Globe)を読んだ「ビクトラス・クルビンスカス」も、自身の自己免疫疾患を改善させるためアンのもとを訪れます。彼は当時、米国コンピューターサイエンス分野のトップクラスのエリートでした。

ビクトラスは3週間後、この施設に残りローフードの研究を続けるように神からの啓示を受けたことをアンに伝え、アンもこれを承諾します。彼はエリートの道を捨て、アンのもとで7年間無給でリビングフードの研究をし続けました。彼はこの施設の頭脳として働き、アンとビクトラスは施設の名前も「ヒポクラテス・ヘルス・インスティテュート」(HHI)に改名。


彼はその多くの時間をハーバード医学図書館で過ごし、さまざまな科学・栄養学・医学・疫学的証拠をアンに示し、それまでのベジタリアンの食事からヴィーガンの食事へ変更させます。さらに、多くの生菜食の有益な情報を示し、最終的に完全生菜食(ローフード)のプログラムを確立させたのです。

彼の集めた情報は、今でも多くのローフードの食事法を推奨するリーダーたちに引用され、その功績を讃えられ、「リビングフード(ローフード)の父」として尊敬されています。



HHIでは、今でも彼の授業を受けることができます。

写真はリビングフードの父「ビクトラス・クルビンスカス」と私 ニコニコ

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彼の著書にメッセージもいただきましたアップ

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Love in service 




参考文献

Wheatgrass Nature's Finest Medicine

Sproutman - Steve Meyerowitz




Hippocrates Health Institute HP
Ann Wigmore, founder

http://hippocratesinst.org/ann-wigmore-founder




「ローフードの歴史」後半に続きます。

http://ameblo.jp/rawvege/entry-12120246347.html



私の周りでは、低糖質ダイエットや糖質制限食を減量や糖尿病の食事療法として使っている人を多くみかけます。アメリカでロバート・アトキンス氏によって1970年代に低糖質ダイエットが考案され、2003年ごろ大ブームを起こしました。確かに短期的な減量効果はバツグンなのですが、半年から1年を過ぎたころからさまざまな健康被害が報告されています。






アトキンス・ダイエットとして注目されたこの食事法は、パレオダイエット、原始人ダイエット、低糖質ダイエットとさまざまに名前を変え、毎年ダイエット番組に登場しているようです。アトキンスは、凍結した道ですべって頭を強打したことが原因で死亡したと発表されていますが、死亡時は体重過多で肥満、心臓病を患っておりそれが本当の死亡原因だと噂されています。






米国のベジタリアンの食事法を推奨するニール・バーナード医師は低糖質ダイエットの危険性を指摘しています。

「低糖質ダイエットにより、今朝2人の人が亡くなりました。1人は減量のために低糖質ダイエットを行っていた16歳の少女で、学校で突然倒れそのまま亡くなりました。解剖の結果、心臓にひどい異常を起こしていたことが解っています。もう1人は心疾患の経歴がなく低糖質ダイエットをはじめた41歳の男性で、この方も突然倒れて亡くなりました。解剖の結果、彼も同じように心機能がひどい状態だったということが解っています。他のケースでは、低糖質ダイエットを始める前の心臓検査で健康だった男性が、2年後に胸の痛みを訴え、血管造影図で検査したところ、心臓の血管が塞がりかけていました」

動物性食品の摂取の多いスポーツ選手の突然死とも大いに関係がありそうですね。




また、ニール・バーナード医師は、PCRMの研究結果を例に出しています。

2002年の秋に、PCRM (The Physicians Committee for Responsible Medicine)により、ネット登録での低糖質ダイエット実践者が募集され、20031215日、429名の登録者からの自己申告による健康被害の報告を発表しました。



【報告者の病状の割合】

●44%が便秘(他の研究では参加者の68%が便秘になった)

●40%がエネルギーの低下

●40%が口臭(デューク大学の研究では参加者の63%
●33%が心機能障害(13名が心臓発作・ステント留置(術)・バイパス手術、26名が心不整脈、42名が他の心機能障害、58名が血清コレステロール値上昇)

 29%が集中力の低下
●19%が腎機能障害(10%が腎結石、1%が重度の感染症、8%が腎機能の低下)
●9%が胆嚢障害、または、胆嚢除去
●5%が痛風
●4%が糖尿病
●4%ががん(1%大腸がん、3%その他のがん)
●3%が骨粗鬆症




【その他、7名以上が報告した病状】

31名が胃腸障害:過敏性腸症候群、憩室炎、潰瘍、胸焼け、嘔吐、激しい腹痛
●19名が激しい気分の変動、無気力症、全身倦怠感、欝
●18名が末梢神経障害、疼痛、けいれん、うずき、手足のしびれ
●16名が慢性的な下痢
●15名が低血糖症、倦怠感、ふるえ、衰弱感
●15名がめまい、立ちくらみ、失神
●15名が重度の慢性的な頭痛
●10名が生理不順
●8名が胸痛
●8名が高血圧
●7名が吐き気
●7名が体重の増加



ネットでの自己申告のため、医学的な研究結果や証拠としては不十分ですが、低糖質ダイエット実践者には起こりうる最悪の症状として覚えておいたほうが良さそうです。




症状の比率のトップにある便秘は最悪の腸内環境を意味しています。ケトン体はブドウ糖ほど代謝効率がよくないためエネルギーの低下を起こし、多くが激しい運動ができなくなるようです。余分なケトン体は尿や呼気から排泄されるため、それが口臭の原因になると言われています。集中力の低下や心機能・腎機能障害も多いですね。


2002年、管理下において10人の健康な被験者に低糖質ダイエットを6週間実践させたところ、尿中のカルシウムの排泄量が55%160248mg/d)上昇。腎臓や血液に酸化ストレスがかかることにより、腎結石、骨粗鬆症の危険性が高まることがわかっています。たった1年で腎機能の95%が低下した人もいるようです。


肉食とがんの関連性は「第二のマクガバン報告」(The China Study)でも指摘されており、「ポッテンジャーの猫」の実験では、肉食の猫でさえ加熱した肉を大量に食べ続けると退化病を起こすことがわかっています。

http://ameblo.jp/rawvege/entry-11972001085.html

日本での低糖質ダイエット推奨者にはやせ型が多く、減量が糖尿病に効果があることもわかっているので、低糖質ダイエットを食事療法として取り入れている病院もたくさんあるようです。

そういった病院の医師たちは、低糖質ダイエットができない人として次の症状をもった患者を挙げています。

腎機能障害
●膵炎
●肝硬変
●血糖値を下げる薬の服用者




しかし、本当に大丈夫なのでしょうか?米国での失敗例を参考に、私たちは注意深く彼らの長期的な健康状態の変化を見ていく必要があるようです。




ちなみに、「低糖質ダイエット」のような危険を冒さずとも、自然療法の世界では2型糖尿病の多くは1週間以内に改善します。

減量も菜食中心の食事のほうがはるかに安全で、長期的な健康も期待できます。

2型糖尿病の方には、ぜひ私の推奨する生菜食中心の食事法、「ヒーリング・ローフード」を取り入れて欲しいですねビックリマークニコニコ


私の新しいホームページ

http://rawlivingnaturopath.wix.com/healing-rawfood
ローフードの治癒効果をご存知の方はホームページで「いいね」を押していただけると助かります。



【参考資料】

http://www.cbsnews.com/news/a-warning-to-atkins-dieters/

http://www.pcrm.org/health/reports/analysis-of-health-problems-associated-with-high

http://www.bengreenfieldfitness.com/2011/08/the-hidden-dangers-of-a-low-carbohydrate-diet/

http://health101.org/art_Atkins_diet.htm


葬られた「第二のマクガバン報告」(上巻)/グスコー出版
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この記事は主に、私の卒業したカリフォルニア、フォートブラッグにある「リビングライト・カリナリー・アート・インスティテュート」、ローフード栄養学コース講師リック&カリン・ディナ医師のテキストを参考にし、いくらか省略して書いています。


ナチュラル・ハイジーンの健康法についての公式発表はこちらです。

「ナチュラル・ハイジーンとは...」 

-日本ナチュラル・ハイジーン普及協会HP

http://www.natural-hygiene.org/Pages/introduction.aspx





「私たちの体には自然治癒力が備わっており、自然にちかい生の野菜・果物中心の食事、キレイな空気、清潔な水(蒸留水)、適度な運動、快適な睡眠、日光浴、健全な精神活動、水だけによる数日間の断食、自然の摂理に従うことにより、体の解毒が進み、恒常性によって体の悪い箇所を自動的に修復し、私たちは本来の健康状態を取り戻すことができる」。ナチュラル・ハイジーンの健康法は、このような考えからきているようです。





『ナチュラル・ハイジーンの歴史』


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【アイザック・ジェニングス:Isaac Jennings, M.D.=「ナチュラル・ハイジーンの父」


コネティカット州フェアフィールドにて、開業医として薬を使った一般的な治療を20年間行っていました。1822年、薬を使った治療をやめ、偽薬(Bread Pill)と水を使った治療を開始。彼は、患者に「新鮮な空気が入るように窓を開けて寝ること」、「十分に休憩すること」、「数日間水だけの生活をすること」、「食事は新鮮な果物と野菜だけにすること」なども指導しました。

彼の指導により、とても高い確率で多くの患者が回復したと言われています。その後、“Medical Reform”“The Philosophy of Human Life”“The Tree of Life”、など多くの書物も執筆。コネティカット州フェアフィールドには、ジェニングス海岸、ジェニングス通りなど、地名として彼の名は今でも愛され、受け継がれています。



【シルベスター・グラハム:Sylvester Graham

1820年代後半、ジェニングスは生理学者であるシルベスター・グラハムと合流。“Orthopathy” (ギリシャ語で ortho- right- + pathos suffering,) を共同執筆しています。グラハムは、ミョウバンや塩化物で漂白された精製小麦粉(白いパンは当時、中・上流階級の象徴であった)ではなく、全粒粉麦を使用すること、果物、野菜、全粒穀物からなる菜食をすること、禁酒をすることを推奨しました。

彼はまた、女性はきついコルセットをしないこと、窓を開け硬いマットの上で寝ること、冷たいシャワーを浴びること、毎日適度な運動をすること、キレイな水を飲むことなども勧めています。

彼はアメリカ東海岸をレクチャーしてまわり、グラハム小麦粉を販売し、数冊の本を執筆。1850年には、「アメリカ・ベジタリアン協会」設立に協力しました。彼の著書に影響を受けたハービー・ケロッグ医師は、ケロッグ・シリアル・カンパニーの創設者として知られています。



【ジョン・H・ティルデン:John H. Tilden, M.D.

ナチュラル・ハイジーン先駆者の影響を受け、「無気力、エネルギーの低下:Enervation」「毒欠症:Toxemia」の概念をさらに発展させました。「Eervation」により神経系の働きが弱くなると、毒素の排泄が困難になり、それらが蓄積し「毒欠症」を引き起こす。-さまざまな病気の症状は、毒素を排泄するための体の反応であり、蓄積された毒素を分解した結果である-と、すべての病気は毒欠症によって引き起こされるとティルデンは考えていました。

25冊の本を執筆し、1926年に出版された“Toxemia Explained”はもっとも有名な著書です。



【ハーバート・シェルトン:Herbert Shelton, N.D.


彼は、ナチュラル・ハイジーン運動のリーダーとしてもっとも有名です。40冊の本を執筆し、1928年から1981年まで、テキサスにあるサンアントニオにて、ヘルス・スクールと保養所を運営し、約4万人の断食を指導したと言われています。

1948年に「米国ナチュラル・ハイジーン協会」を仲間と共同で設立。彼が最初の会長に選ばれました。「健康は、健康的な生活習慣の結果である。(“Health is the result of healthful living”)」をモットーに、何十年にも渡り、協会はヘルス・サイエンス・マガジン、レクチャー・テープ、本などを出版し、各地でレクチャーを行ってきました。




T.C. フライ:T.C. Fry

ハーバート・シェルトン博士の「Superior Nutrition」を読み、一夜にしてナチュラル・ハイジーンの健康法を始めたと言われています。1982年、“Life Science Institute”を設立。“Healthful Living マガジンを刊行し、たくさんの著書、テープ、講座のビデオを販売。セミナーをして周り、通信教育なども行いました。この通信教育の卒業生であり、「Fit for Life」の著者で有名なのがハービー・ダイアモンド氏です。



【ハービー・ダイアモンド:Harvey Diamond

T.C.フライのナチュラル・ハイジーン通信教育の卒業生。1985年に「Fit for Life」、1987年には「Living Health (Fit for Life 2)」を出版。現代ナチュラル・ハイジーン運動の立役者。松田麻美子先生の翻訳本により、日本でもナチュラル・ハイジーンが広く普及しました。








このように、ナチュラル・ハイジーンの健康法は1820年代の「ナチュラル・ハイジーンの父」といわれるアイザック・ジェニングスに始まり、ハービー・ダイアモンド氏の「フィット・フォー・ライフ」、松田麻美子先生のナチュラル・ハイジーンの普及活動によって現在に至ります。


「ナチュラルハイジーン」と「ローフード」の食事法は海外では区別されて考えられています。

http://ameblo.jp/rawvege/entry-12102326560.html



「ローフード(リビングフード)の母」といわれているアン・ウィグモアは、同じく「ローフード(リビングフード)の父」といわれるビクトラス・クルビンスカスと共同で設立したのが「ヒポクラテス・ヘルス・インスティテュート」です。


ローフードの歴史はこちらビックリマークニコニコ

http://ameblo.jp/rawvege/entry-12116412986.html


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