酵素栄養学の権威といえば、エドワード・ハウエル博士です。彼がはじめての著書「The status of food enzymes in Digestion and Metabolism」(1946年)を出版した当時はまだ無名で、酵素という言葉も一般的ではなかったようです。その著書は医学的な専門書であり、栄養学を軽視する医学教育だったため(現在でも同じ)、医師ですらその重要性を理解できる人はほとんどいませんでした。ある人物が彼の書物を一般人向けに送り出すまでは…
アン・ウィグモアの小麦若葉ジュースとローフードを中心とした食事療法で自己免疫疾患を回復させたビクトラス・クルビンスカスは、ローフードの奇跡的な回復効果に感動し、その科学的・医学的根拠をハーバード医学図書館で徹底的に探していました。
そして、エドワード・ハウエル博士の医学専門書を見つけ、これがローフードの奇跡を起こす理由と失われた重要な研究結果であると気付いたのです。彼はハウエル博士に連絡をとり、彼の探し出したその他の酵素学研究も付け加えた酵素栄養学の本の再出版の許可を得ます。ハウエル博士はとても気前よくその要望に応じ、50ページの追加情報を加えて出版されたのが「Food Enzymes for Health & Longevity」(1980年)です。下のほうにはビクトラスの名前も記載されています。
※すべてビクトラスの自費で出版されたのですが、この本もまだ専門的すぎてあまり売れなかったようです。しかし、一部の専門家には酵素の重要性を気づかせる衝撃的な内容でした。日本でも「食物酵素のBAKA力」として今村光一氏に翻訳されています。素晴らしい内容なのですが、市場に出回っていないところを見ると、おそらく日本でもあまり売れなかったのでしょう。
その数年後に、もっと一般人向けに書いてハウエル博士が出版した本が「Enzyme Nutrition」(酵素の力)(1985年)です。
この本が広く読まれるようになり、こうしてローフードの有効性が少しずつ理解されるようになっていきました。ハウエル博士の酵素栄養学は、ローフーディズムの柱となっており、ローフードの食事療法の有効性を科学的・医学的に証明するものとなっています。
※①現代栄養学では「酵素はタンパク質でできているため、胃酸ですべて不活性化する」というのが常識のようです。Wikipediaには『「栄養学」と呼称されているが、実験や研究を経て根拠が示されておらず、科学者や医師に広く受け入れられているものではない』とまで書かれているので、多くの人を戸惑わせていることでしょう。
こうした「嘘」を理解するためには、医療ビジネス、大企業による情報操作などの現状を学び、洗脳を解いていく必要があります。内海聡氏の著書などから医療ビジネスの実態を学ぶのが近道だと思います。
※②酵素栄養学はエドワード・ハウエル博士によって確立されましたが、ゲルソン療法、ナチュラル・ハイジーン、西式甲田療法などの生菜食中心の食事法も酵素の有効性を示すものです。また、ゲルソン療法で使う「牛の肝臓」、ジョン・ベアード博士・ウィリアム・ケリー博士などが使った膵酵素「パンクレアチン」なども、動物性の酵素サプリメントのようなものだと言えます。独自の有効性はあるのですが、動物性はpHの幅が狭いため、植物性が一般的です。
ビクトラス・クルビンスカスがローフード(リビングフード)の父といわれる所以も、彼がエドワード・ハウエル博士の「酵素栄養学」の重要性を理解し、その有効性を一般に広め、アン・ウィグモアとともにリビングフードの食事療法を完成させたことにあります。彼がいなければ、酵素栄養学とローフードの普及は数年、または十数年遅れていたかもしれません。
ビクトラス(右)と私(ヒポクラテス・ヘルス・インスティテュートにて)
ローフードの食事法は、酵素栄養学とともに発展していきました。ハウエル博士も当初は患者にローフード中心の食事を摂るよう勧めていたのですが、「続けるには強い意志の力が必要で、続けられる人は少数なため効率的ではない」と言っています。彼は加熱食の消化を助けるための麹菌を使った消化酵素のサプリメントも1932年までに開発し、治療に大きな成果をあげていたといいます。現在、米国の消化酵素のサプリメントの80%は麹菌から抽出された植物性のものが主流です。麹菌は他の食物酵素よりも10~100倍強いとされています。麹菌は、日本人高峰譲吉が米国に伝え、その技術は今でも米国で使われているそうです。私たちの文化の中にすでにもっとも有効な食物酵素が普及していたことを、我々日本人は誇りに思い、学び直す必要があるでしょう。
アン・ウィグモアとビクトラス・クルビンスカスが共同で創設した「ヒポクラテス・ヘルス・インスティテュート」でも、ローフードの食事療法とともに、症状に合わせた植物性の消化酵素のサプリメントの摂取を勧めています。
※空腹時に摂る消化酵素のサプリメントは、血中に吸収されやすく、免疫力を高めると考えられています。
Take as a supplement on an empty stomach, plant enzymes enter the bloodstream, where they assist the immune system by digesting and disposing of toxins (any substance that does not belong in the blood) and “eating” the protein coating on certain viruses, enabling immune system workers to then destroy them.
-Enzyme Cure
【参考資料】
- Survival in the 21th Century – Viktras Kulvinskus
- Everything you need to know about Enzymes – Tom Bohager
- The Enzyme Cure – Lita Lee
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