さようなら、ガウラ。 | 途上

途上

わからないまま、生きてゆく。

 

 

 

 

 

ガウラ。

別称、白蝶草。

 

 

セール品になっていた

ガウラの苗を植えたのは

たしか4年前。

 

成育が速く、強健な草花。

手間がかからない植物。

当時はそれだけを求めていました。

 

あれよあれよと大きくなりました。

たくましい生命力。

 

そんな生命力とはうらはらに

夏のあいだ、小さな可憐な花をつけます。

花期が長いです。

 

 

ずっと大の苦手だった風。

暴風や強風でなくて

そよ風程度でも、胸がざわざわしていました。

 

そんなわたしが

ガウラの細くて長い茎や

白い小花が風に揺れる姿を

居室の窓から、飽きることなく眺め

ずいぶんと慰められたものでした。

 

 

ガウラを揺らしているのは

まぎれもない風。

自然の風。

 

苦手だった風に対する思いが

少しずつ変化してゆきました。

風に耐えられるようになりました。

 

ガウラのおかげです。

 

 

そんなガウラの3つの苗のうち

1つを昨年掘り起こし

株分けしてあちこちに植えました。

 

今シーズンは2つの苗をたのしみました。

 

そしてきのう

2つのうちの1つの苗の根を抜きました。

 

さようなら、ガウラ。

ありがとう、ガウラ。

 

残した1つは短くカットしました。

 

空いたスペースは一番窓からよく眺める場所です。

いまは穴ぼこができていますが

次に何を植えようか、と

あれこれ思う自分がいます。

 

 

先を思えることがうれしい朝。

 

 

♪ 季節の花は 来年のこの頃

  今と同じような 笑顔で会える

  季節の花は 心の変化や

  気まぐれな気持ちを

  許してくれるだろう ♪

 

吉田拓郎の《季節の花》の歌詞が浮かびます。

 

 

いえ、来年のこの頃

わたしがここにいるとは限りません。

この世にいるとは限りません。

わたしだけでなく、老若男女、誰しもです。

 

でも、いま

この時

来年のいま頃

どんな季節の花と会えるのだろうと

思いを巡らしている、

この、いま

 

この、いまが

こよなく愛おしく思えます。